まつのベジタブルガーデン

大阪府バナナ熟成の秘密

まつのベジフルサポーターレポート

大阪府のベジフルサポーター
野菜ソムリエ、ジュエルフルーツクリエイターの万ノ記子(マンノノリコ)です。

果物摂取量が年々減少傾向にある国内で10年以上連続して国内消費量が第1位の果物「バナナ」。価格も手頃で朝食や間食にもなり手軽に食べられる果物として根強い人気のバナナですが、その加工(熟成)方法として伝統的な技法を採用しているバナナ加工業者様にたっぷりとお話を伺いました。日本全国で残すところ2カ所のみとなってしまったバナナ加工用の「地下ムロ」をご紹介いたします。

大きなトラックいっぱいに積み込まれ運ばれてきたのは約400ケースのバナナ。

バナナ

大阪府堺市のバナナ加工業者薮内産業さんではこの大量のバナナの箱を手おろしして地下ムロと呼ばれる加工部屋へ運び込まれます。

大きな房が5房ほど入っている箱を軽々とおろされていましたがひと箱は約13キログラム超え。かなりの重労働です。

バナナ

大正・昭和時代は地下ムロが主流だったそうですが、この重労働のため今では「丘ムロ」と呼ばれる地上の室内で熟成させるのが主流となってきたそうです。

バナナ

それでも今なお伝統的な地下ムロを使用しバナナを加工している薮内社長の拘りと職人魂を感じます。長年の経験と知識で培った技術を最大限に活用し、今もなお人の目で熟成度合いを判断し生活者のもとへと届けられる地下ムロ育ちのバナナは、システム管理された丘ムロのバナナとは一味違うと自信をもっておっしゃっていました。

日本では害虫の侵入を防ぐため熟した状態のバナナを輸入することができません。

皮全体が青い状態で収穫され低温輸送船などで運ばれてきます。その後、温度・湿度が管理されたムロでエチレンガスを充満させて追熟(バナナを熟成)させるのです。

バナナ専用の熟成用ガス、バナチレン。このガスが開発されるまでは炭を焚いたりガスコンロに火をつけて部屋を酸欠状態にしてエチレンガスを発生させ追熟させていたそうです。

バナナ

温度も徹底管理されています。一度でも13度を下回ると低温障害を起こし皮が変色したり熟成がうまく進まなくなります。20度~22度に温度を上げその後だんだん温度を下げて5~6日かけて出荷されます。

バナナ

完全に軸の部分まで黄色に熟成させるのではなく少し青い状態で出荷し店頭に陳列されるまでの間ゆっくりと追熟することを 計算されています。

バナナの輸入が開始されたのは1903年。台湾から神戸港に7カゴのバナナが運ばれたのが 始まりだそうです。その当時は高価な希少品だったバナナ。戦時中一時的に輸入が途絶えましたが、その後また再開され、バナナの輸入自由化に伴い安価に流通するようになりました。

バナナ

食物繊維・ビタミンAが豊富で、特にカリウムの含有量が多く体内の塩分を排出する働きがあるため、高血圧症予防の効果が期待されるバナナ。手軽に食べられて体の調子も整えてくれる人気の果物です。輸入され、ただ時間をおいて熟成するのではなくこのように手をかけて追熟加工され私たち生活者のもとに届けられているのですね。

大阪府のベジフルサポーター、野菜ソムリエ、ジュエルフルーツクリエイター万ノ記子(マンノノリコ)でした。

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