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皆さま、こんにちは!高知県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ上級プロ、食育マイスターの斉藤香織です。高知県では桜も終わり、急に蒸し暑い日が続いています。こんな時期に食べたくなるのは水分いっぱいの果物ですね!今回は江本農園さんのアンテナスイカをご紹介します。
高知県香南市夜須町手結山(ていやま)、海に面した高台に江本農園はあります。園主は江本浩一さん、妻の美江さん、母親の幸子さんの仲良し家族でハウス栽培をしています。
江本農園さんでは年に3回スイカを定植。いろいろな品種を作っていますが、現在小玉スイカはそろそろ終盤を迎え、これから収穫を迎えるのは大玉の「金時」。500玉の限定生産です!
現在、大玉は小家族では消費できない、冷蔵庫に入りきらないなどの理由から、市場のニーズは中玉や小玉に流れています。確かに糖度では小玉に劣ることもある大玉ですが、この「金時」は香りがあり、「甘いだけではない魅力がある」と力強く語る浩一さん。根強いファンもいらっしゃるそう。
さて、江本農園のこだわりの栽培方法についてお聞きしました。その1「一本の樹に一玉」。これはマスクメロンと同じ栽培方法です。摘果して選んだ1玉に確実に養分を集中させる。だから旨みがぎゅーっと凝縮した一点もののスイカができるのです。収穫したスイカの蔓が一文字に残っていますね。まるでアンテナのようです。これが一点ものの証拠。アンテナスイカの名前の由来です。
その2「立体栽培」。もともと耕地面積の狭い手結山は、地這いで作るには土地が足りない、また地這いでは日光がスイカにまんべんなく当たりません。立体栽培にすることで光合成がより進み、高品質のスイカを作ることができます。丁寧に吊られたスイカたち。なんだか気持ち良さそうですね。
その3「水分コントロール」。スイカはほとんどが水分でできているため、水やりは良い量を良いタイミングであげることが大切。水分の細かい管理ができるよう点滴チューブを使用しています。定植から収穫まで4ヶ月近く、その間にはいくつかの段階があります。(1)樹や実を大きくする。(2)糖度をあげる。(3)収穫時を見極める。交配後1週間から10日で果実の細胞の数はぐっと増えていきます。この時期にはたくさんの水が必要です。30日経つと果実は成長し、皮がぐっと締まってきます。ここからは水分量を絞っていきます。
スイカが今どのくらいの水分を必要としているのか?例えば今年の春は曇りが多いですが、そこに突然カーッと晴れ間が訪れることがあります。そんな時には急速に蒸散が進み、葉が萎れかけるように見えますが、まだ土の中には水分が残っているのです。「ギリギリのところで水分を与えたい!」そのためにも微妙な見極めが必要なのです。「糖度を上げるために水分を絞っている時期、ハウスに入ると葉がビシビシ!と音を立てる時がある」と浩一さん。そういうサインも見逃さず、細かい水分コントロールを続けることが、みずみずしくて甘いスイカを作る秘訣なのですね。
スイカには様々な色の糸が付いていました。これはあと何日で収穫するかの目印です。美味しいスイカの見分け方は、一般的には「叩いて低い音のするもの」と言われますが、ここでは浩一さんにしかわからない、見極めラインがあるようです。
そして下には炭酸ガスが通っているチューブ。ハウス内の炭酸ガス濃度が低くなると、自動でこのチューブが膨らみ、ハウス内に炭酸ガスを入れて光合成を高めます。炭酸ガスを入れるようになってからは、重さが1.5倍、旨味も増したそうです。また、より安全・安心なスイカを目指して、害虫アザミウマ対策にスワルスキーを入れるといった「天敵栽培」も積極的に取り入れています。
試食もさせて頂きました!美江さんが切ったスイカを浩一さんが糖度チェック。スイカの中心部分と、皮に近い外側の部分を測っています。このスイカの中心部分の糖度は11.8度、そして外皮近くは11度でした。
スイカは中心の方が糖度が高いとされています。当然中心部と外皮に近い部分の糖度には差が出てくるはずです。しかし両者の差が1度もないということは、このスイカの果肉全体は、ほぼばらつきなく甘いということですね。確かに食べてみると、皮ギリギリの部分まで甘い!そして一般的に、甘い=うまいと思われがちですが、江本農園のスイカは甘いだけではありません。シャキッとした食感も確かです。このアンテナスイカを食べて、スイカに対する概念が変わりました!
昨年から系統出荷を辞め、個人経営者として新たなスタートを切った江本農園さん。なんと取材日がその一周年の記念日でした!「この一年はいろんなことがあった」と美江さん。TTPを取りまく農業界の動きは激しさを増し、世の中の情勢も大きく変わってきています。
だからこそ、今年は「アンテナスイカ」のトータルブランド作りに力を入れたいとのこと。すでにその準備は始まっています。一つひとつのスイカに愛情を注ぎ、細かい管理をしていくのは本当に大変なことですが、新しい挑戦を続けている江本農園の方々はいつも笑顔いっぱいです。これからも美味しいスイカで、みんなの笑顔をつないでいって下さいね。
『スイカ屋えもと 江本農園』
781-5622
高知県香南市夜須町手結山998-2
TEL0880-54-1356/FAX0880-54-4096
江本農園ブログ
大玉スイカ「金時」はGWあたりからの収穫となりますので、ぜひお楽しみに!
高知県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ上級プロ、食育マイスターの斉藤香織でした。