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みなさま、こんにちは。長野県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエプロの戸谷澄子です。
南北に長い信州には、古くから各地の気候風土に適応し、特徴的な味や形、香りを持った野菜が数多く栽培されています。その中でも、今回ご紹介したいのが信州の伝統野菜『八町(はっちょう)きゅうり』です。
その姿は一般的なきゅうりよりも太くて短くて、すんぐりむっくり。なんとも可愛らしいです。表面は白イボが立ち、白い粉(ブルーム)がかかっています。【ブルームとは、果実が栽培環境のストレス(高温・乾燥など)から身を守るために、果面に出すロウ状の物質のこと】
見た目はこんなにゴツゴツしているのに、皮がとても薄くて、丸かじりした時の歯触りがよく、ほのかにメロンの香りがあり、とても甘みがあります。一度食べたら忘れられない!と人気です。
農家や地元の方に美味しい食べ方をお聞きすると、みなさん口をそろえて「丸かじりが一番!信州味噌をつけてな!」と。子供たちも「まるかじり~!」とその甘さと歯触りを楽しんでいるようです。
さっそく私も畑で採りたてを食べてみました。本当に皮が薄くて柔らかいのに、実はシャキシャキといい歯触り、そして甘い!!
『八町きゅうり』は、昭和20年頃、長野県須坂市上八町の農家によって育種され、昭和30年代には絶大な人気を博していました。その後、果樹栽培の普及により八町きゅうり農家は減少しましたが、近年、八町きゅうりを見直す動きが高まり、信州の伝統野菜として伝承していこうと「八町きゅうり研究会」が中心となって普及に尽力しています。
今回は、八町きゅうり研究会会長の黒岩さんの畑にお邪魔しました。
剪定には法則性を持ちこだわって作業される黒岩さん。美味しく甘いきゅうりを育てるための大切な作業。
こんなに枝が整えられて整然としたきゅうり畑は初めて見ました。
根元にはネギを一緒に植えてありました。病気の予防のためだそうです。
収穫は例年7月上旬~9月。今年は5月の低温が影響して例年より10日ほど収穫が遅れて始まったそうです。出荷基準は約15センチに成長したもの。1日で4センチも大きくなるので、1日に何回も畑を回り収穫の頃合いを見て、何度も出荷されるそうです。
お邪魔したのは朝の出荷後でしたが、次のきゅうりがみるみる成長し、収穫の時を今か今かと待っているようでした。
ほら、ここに、きゅうりの赤ちゃん。これもあっという間に大きくなるんですね!
私も収穫のお手伝い…。
箱はこんなに可愛らしいデザイン!須坂市も一生懸命PR活動しています。こんなTシャツもあるんですよ!ずんぐりむっくりなきゅうりのイラストがカワイイ!
信州の伝統野菜として、八町きゅうりを出荷する指定農家は数軒と少ないですが、みんなに八町きゅうりを広めたい!と、毎年広く一般に苗木の即売会などを開催し、家庭菜園で栽培を楽しめるよう取り組んでいます。遠方から苗木を求める方もいらっしゃるとのこと。
伝承地栽培認定された八町きゅうりは、7〜9月に地元の直売所や道の駅で販売されています。これから長野市や須坂市にお越しの際は、ぜひこの『八町きゅうり』を探して、この甘さと軽快な歯触りを楽しんでみてくださいね。
長野県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエプロの戸谷澄子でした。