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山梨県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエプロ・フードツーリズムマイスターの村上由実です。
皆様がお住まいの都道府県名の由来をご存知ですか。山梨県は、山梨・八代・巨摩・都留の4つの郡で構成され、明治4年11月に廃藩置県でその名が付きました。その由来はいくつかありますが、そのうちの1つに「果物のヤマナシがたくさんとれたから」という説があります。(平成29年3月山梨県広聴広報課発行「やまなし県のあらまし2017」)
山梨県の梨の生産量・出荷量はそれほど多くはありませんが、大月市のJR猿橋駅には現在流通している和梨の原種の1つと言われている「二ホンヤマナシ」の樹が植えられ、駅を利用する人々を見守り続けています。
山梨県では、甲府市などで栽培され、8月上旬から中旬に出荷される「幸水」を皮切りに、「豊水」「南水」などの和梨はもちろん、富士川町などで栽培されている「ラ・フランス」などの西洋梨など、12月下旬までいろいろな梨を楽しむことができます。
今回は甲州市で梨を栽培している観光果樹園童夢の菊島嘉郎さんを訪ねました。菊島さんと言えばさくらんぼ。以前目指せ3L!500円玉サイズのプレミアムさくらんぼの記事でもご紹介しましたが、さくらんぼの作業が落ち着いている今、菊島さんは西洋梨に愛情を注いでいます。
9月上旬、最初の訪問。一般的に果物は樹で熟したものが美味しいと言われていますが、西洋梨は収穫してから成熟を始めます。つまり和梨や他の果物のように、果実狩りに行ってその場で美味しい状態の西洋梨を採って食べることはできません。この日は私の訪問に合わせ、「オーロラ」という西洋梨をベストな状態で準備してくださっていました。
知名度では他の追随を許さない品種「ラ・フランス」よりも前に収穫できる早生種として、人気急上昇中の品種です。
畑に移動すると、1つ1つ丁寧に袋をかけられた西洋梨がたくさん実っていました。
普段見慣れているのは白い袋ですが、こちらの梨には黄色い袋がかけられていました。白よりもサイズが大きく、二重になっています。これなら実が大きくなっても破れる心配は少ないですね。
桃などの場合、収穫時期間中に袋を取って日に当て、果実に色を付けることもありますが、梨ではその作業は行いません。袋を取ってチェックし、まだと判断したら再び袋をかぶせ、収穫の日を待ちます。下の写真はシルバーベル。きれいに色づいているので収穫期は近いのかと思いきや、あと1ヵ月くらいはこのまま吊るしておき、10月になってから収穫するのだそう。
西洋梨は収穫後、2~5度くらいの温度で「予冷」を行います。一時的に呼吸作用を抑制して熟成を止めることで、出荷時の品質の均一化が可能です。また予冷を行うと追熟期間も短縮できます。西洋梨は食べ頃を見極めるのが難しい果実なので、美味しい時期を逃してしまいがち。見極めポイントは香りとヘタ周りの硬さ。柔らかくなり、上品な香りが漂ってきたら食べ頃です。しっかり観察しながら食べ頃を逃さないようにしたいですね。
西洋梨の畑の隣には、和梨の畑が。こちらは「南水」です。
菊島さんがその場でむいてくださいました。
愛情こめて育てた果実をその場で味わえるなんて、なんて幸せなのでしょう!
この日私は、3種類の西洋梨をいただきました。フルーツ王国・山梨にいても、西洋梨を一度に3種類も食べたことはありません。1週間後、早速いただいた西洋梨を並べてみました。左から「オーロラ」「マルゲリット・マリラ」「ゼネラル・レクラーク」です。
まずはオーロラを観察。ヘタの部分がだいぶ柔らかくなっていて、少し熟しすぎた感じがしました。糖度は16度。
次にマルゲリット・マリラ。皮がレモン色で肌がツルツルで400グラム以上もありました。糖度は15度。
次にゼネラル・レクラーク。ゴツゴツして硬め。まだ少し早いような気もしましたが、それでも糖度は14度。
切って並べてみました。手前右のオーロラは柔らかくなりすぎてしまいましたが、香りがとても強く多汁。糖度は一番高いですが、酸味も少しあるので、甘ったるくありません。真ん中のマルゲリット・マリラは、糖度はオーロラに劣りますが、酸味がほとんどないため甘さを強く感じました。果肉に繊維を感じます。奥のゼネラル・レクラークは、サクサクで和梨のよう。さっぱりしていますが、西洋梨特有の上品な香りが感じられず…少し追熟不足だったみたいです。
この状況を見越してか、菊島さんはゼネラル・レクラークをもう1つ準備してくださっていました。残った1つを1週間追熟したものがこちら。皮もずいぶん黄色くなり、柔らかくなりました。
上品な香りがしてみずみずしい!美味しいゼネラル・レクラークを堪能しました。
後編では、和梨「豊華(ゆたか)」と梨を使った簡単メニューをご紹介します。
山梨県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエプロ・フードツーリズムマイスターの村上由実でした。