まつのベジタブルガーデン

青森県温泉の恵みで通年栽培を実現!十和田の山東菜(前編)

まつのベジフルサポーターレポート

青森県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ、ベジフルビューティーアドバイザーの欠畑(かけはた)睦子です。

青森は例年より少し早い積雪があり、また寒い冬がやってきました。今回は、県内でも比較的雪の少ない私が住む十和田市で、温泉を利用して有機野菜の栽培に取り組んでいる川田農園を紹介します。

温泉保養地だった十和田市米田地区に土地を購入して定年後に住み始めた両親のもとへ何度か足を運ぶうち、田舎暮らしが気に入り、夫婦で移住したという川田正人さんと聖子さん。三重県四日市市の配線器具メーカーで設計担当だった正人さんですが、移住後の2003年に就農し、現在は専業農家として山東菜と小松菜を生産しています。

収穫作業で忙しい中、「いつでもどうぞ」と笑顔で迎えてくれた川田さんご夫妻。

50メートルにも及ぶ長いハウス内はふわりと暖かく、2種の野菜が青々と茂っていました。黄緑色の野菜が山東菜で緑色が小松菜です。

早速、サラダで食べられるという野菜をその場でいただきました!

ふわっと柔らかくサクッとした食感!ほんのり香る青菜の旨みとかすかな塩味が感じられ、やさしい味がします。私が野菜ソムリエになりたてのころ初めて食べて驚いた野菜の一つで、今まで食べていた山東菜や小松菜とは全く違いました。このおいしさの秘密は32〜33度の弱アルカリ性の温泉水を散水していること。ほどよい温泉が暖房と給水の二つの役割を担っていました。

もともと温泉保養施設があった敷地内、3アール5棟のビニールハウスの地下60センチ程のところにパイプを通し、温泉水を循環させています。夏場は種から収穫まで1ヶ月、冬場で2ヶ月かかりますが、積雪のある冬でも一定の温度が保てるため通年栽培が可能。これからの寒さで多少成長が遅くなりますが、寒さが増すごとに甘みを蓄え、一番おいしくなります。葉物が少なくなる冬の貴重な地場産品です。

米糠を用いた手作りの有機堆肥を使い、低農薬を基本としています。土壌診断後の追肥も薦められましたが、連作障害もないことから、今までどおりの微生物の分解にこだわり、現在のおいしさにつながっています。「通年栽培する中で、春先の4~5月は気温の高低差に油断がならず、一番気を使います」と話す正人さん。昨年はポンプが壊れて池の水を使った時はキスジノミハムシの食害で大変だったこともありました。

そんな正人さんのこだわりは栽培前の就農スタートのすべての準備・作業から始まっています。エンジニアだけあって、ハウスの設計や溶接、防虫網、ビニール張りなど、労働作業の合理性を考え植えつけに使う穴あけ機や最近では細かい種まき機まで作れるものは全て手作りします。

収入もなく大変だった時を乗り越え試行錯誤があってこそ。何度食べても「おいしい」と言わしめる野菜の味からは、ご夫妻のお人柄さえも感じられます。

主に地元のレストランやスーパー、道の駅に出荷しています。また、お母様と弟さんが栽培しているハウス7棟の山東菜・小松菜は市場出荷しているそうです。

後編では料理も大好きな川田正人さんおすすめのメニューや、この季節にふさわしい華やかなパーティーメニューをご紹介します。ぜひご覧ください。

青森県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ、ベジフルビューティーアドバイザーの欠畑睦子でした。

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