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栃木県農業にICTを活用!「ゆめファーム全農」による新たなモデル

まつのベジフルサポーターレポート

栃木県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ、ケトジェニックダイエットアドバイザーの黄千純です。

栃木市田村町に5.5mもの高さの巨大なハウスが建ち並ぶ「ゆめファーム全農」。ここではICTを活用し、安定的な大規模経営オペレーションを実践しています。ICTとは「コンピュータネットワークを利用して情報処理や通信を行う技術」のこと。このICTを活用し、ハウス内の環境を常に最適に保つことで、安定的かつ高収量を実現しています。また、この実証結果に基づき、「ゆめファーム全農モデル」としてパッケージ化し、日本の最先端技術として国内外に幅広く提案をしています。

今回はまつのベジフル応援団の籠谷めぐみさんと共に、JA全農技術主幹の大山寛さんを訪問しました。大山さんはJAしもつけ(栃木市)管内のトマト生産者で全国野菜園芸技術研究会(全野研)の会長を務め、2002年トマト部会として天皇杯、2008年に農林水産省「農業技術の匠」に認定、2012年には黄綬褒章を受章されています。

大山さんは約40年ほど前にオランダでのICTを利用した大規模栽培の研修に参加し、その技術を日本に持ち帰りました。海外での農業研修体験を通して、日本の食文化や歴史の素晴らしさを再認識されたそう。「日本には世界に誇れる「生」の文化があります。刺身や生野菜など世界に誇れる美味しくて安全・安心な生の食材に誇りを持っています。」

「野菜の中でも特にトマトは日本らしい味わいを追求し、より多くの方に食べてもらえるように高収量生産を実現したい」という思いで、当時難しいと言われたICT活用に踏み切りました。今ではゆめファーム全農は年間出荷数量10haあたり40tという驚異的な数字を達成。ICT技術や設備の工夫を重ねた結果です。

特徴としては高軒高ハウスといって、近隣のハウスの軒高4m前後に対して、ゆめファームでは5m超えと天井を高くしています。天井を高くすることで空気の通りを良くし、寒い冬の時期や暑い夏の時期でも、温度や湿度の調整がしやすくなります。

また、ハウスのフィルムに特殊なフッ素フィルムを使用。夏は日射量が多く、冬は少ないという特徴に最も適した散乱光フィルムを使っています。自然の光を最大限に受け入れることでコスト削減を実現し、ハウス内の最適な温度を保つことに成功しています。

ハウスの高い天井を見上げると、ワイヤーがつるされています。これはハイワイヤーという技術で、トマトを縦に長く伸びるように栽培できる技術です。

上部には青々とした葉を、ちょうど人間の目の高さ、腰の高さにトマトの実がなるように設定することで、トマトに栄養がいきわたるようにしています。また、こうすることで立ったまま収穫でき、収穫作業が効率アップ、短時間でより多くの収穫を実現しています。

ハウス内はネポンの「アグリネット」と「MC=6000」という制御装置を使用し、天窓、暖房機、CO2などの制御を行い、データをクラウド上に転送します。転送されたデータをスマートフォンやパソコンからインターネット環境を通して確認が可能です。今まで、ハウス内にある温度計や湿度計を見ないとわからなかったことが、世界中どこにいてもスマートフォンとインターネット環境さえあれば確認可能になりました。

従来のやり方では、その日やその時間帯の確認として問題が点として理解されていました。点としての理解は、課題を曇らせ的確な改善案を出しづらくしていましたが、ICTの活用でデータをクラウド上に蓄積し、統計化、グラフ化することで、一目で課題が浮き彫りに。

課題をリアルタイムで管理者全員が共有することで、対策のタイムラグも圧倒的に短くなりました。管理者や各スタッフが現場にいなくても、瞬時に課題を共有し、さらに細かい点を話し合って微調整が可能に。このようなICT活用で、高品質の素晴らしいトマトが収穫できるようになったのです。

ICT活用に合わせて、品種も改良を重ねてきました。栃木トマト部会の生産部会の指定品種「マイロック」という種を18年ほど使っていますが、高軒高、ハイワイヤー誘引に最大限の力を発揮できる最適な品種の研究を現在も続けており、11種類の品種を比較栽培しています。この環境の中で収量を伸ばし、なおかつ日本らしい味に仕上がる品種にこだわっています。 

設備運営、ICT活用、品種選定など、栽培におけるすべての要素をパッケージ化した「ゆめファーム全農」の新たな農業モデル。まさにその名前通り、日本のトマト栽培の夢が叶ったような感動を覚えました。このような栽培への取り組みや努力を知ることで、生産者や農産物に対してますます感謝と尊敬の気持ち抱いた私…未来の農業のひとつの姿を垣間見た気がしました。

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