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山梨県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエプロ・フードツーリズムマイスターの村上由実です。
山梨県の郷土料理というと頭に浮かぶのは「ほうとう」や「鳥もつ煮」もしくは「吉田のうどん」でしょうか?今回は富士川町十谷(じっこく)地域に伝えられている郷土料理「みみ」をご紹介します。
「みみ」は人参、里芋、大根等の根菜や南瓜などを鍋で煮込み、小麦粉を練って作った「みみ」を入れて味噌で仕上げた郷土料理。名前は、形が農具の箕(み)に似ているところから、「福をすくいとる」という意味を込めて福箕(ふくみ)となり、これが転じて「みみ」になったという説や、形が耳に似ていることから「みみ」と呼ばれるようになったという説など様々です。ちなみに、これが農具の箕。
そしてこちらが「みみ」。似ていますか?
「みみ」は、南アルプスの秘境十谷で源氏の武将が作って食し、戦勝を祝ったという故事から、この地域の祝いの日の代表的な食事として伝えられており、特に元旦の朝にその年の福を全部すくうという縁起を担いで食べる地域もあるそう。
そんな十谷地域のある富士川町にはみみ作り体験ができる「つくたべかん」があります。人気コミック「美味しんぼ」で紹介されたこともあり、地元の女性たちによる手作りの特産品を求め、観光シーズンには県内外から多くの人で賑わいます。
こちらでは「ふるさと体験教室」としてみみづくりなどを行い、地域の伝承料理を「つく」って「たべ」て「かん」じることができます。私もみみづくり体験に参加してきました。
まずは小麦粉に少しずつ水を加えながら混ぜ合わせます。
水と粉がなじむまでよく練ります。
なじんできたら一つにまとめます。
のし板に移し、さらにこねて、つやと粘りが出てきたらのばします。
薄くのばしたら約15センチの幅にたたんで均等に切り分け、最終的に5センチ四方の正方形になるように切っていきます。
そして2つの角をつまんで「箕」の形を作ります。
完成した「みみ」は、大鍋で煮込んだ野菜と共にグツグツ煮込み…
最後に味噌を加えてできあがり!手作りの生芋こんにゃくも一緒にいただきました。
とはいっても、いきなり手作りは難しいという方にはこちらがおすすめ。
「つくたべかん」だけでなく、「道の駅富士川」でも購入が可能です。
道の駅富士川の居村一彦社長も一押しの商品です。
道の駅富士川は、食堂「富士川キッチン」をはじめ、富士川町を中心とした近隣市町村で生産された野菜や果物をそろえた農産物コーナー、ここでしか手に入らないオリジナル商品や山梨を代表する土産品を販売するスペース、多目的広場、展望台などがあり、山梨と静岡をつなぐ国道52号の憩いスポットとして大人気の道の駅です。
居村社長は「数量限定ではありますが、富士川キッチンでも『みみ』を用意しています。ぜひ味わいに来てください」と話していました。
今回私はオール山梨食材の「みみ」を作るため、農産物コーナーで野菜を調達することにしました。まずは「大塚にんじん」。山梨県市川三郷町大塚地区で生産されている人参で、収穫時の長さは80センチ~1メートル。地元では「のっぷい」と言われる豊かな土壌で育まれた人参です。
続きまして「八幡芋」。山梨県甲斐市八幡地区で江戸時代から栽培されている里芋です。煮崩れしにくく、粘りが強いのが特徴です。
これ以外にも県内産の大根・南瓜・白菜なども購入して準備万端!
こちらが販売されている加工品の「みみ」。
食べやすい大きさに切った野菜を煮込んでから「みみ」を加え、仕上げに「甲州味噌」を。麦麹と米麹を合わせて作る山梨ならではのもので、身延町の「あけぼの大豆」で味噌造りでご紹介した味噌を使いました。
オール山梨食材の「みみ」が完成!
「みみ」の形、ちゃんと残っているのが分かりますか?
それから、トッピングにおすすめなのが「柚子胡椒」!
朝日をたっぷり浴びて育った穂積の柚子でご紹介していますが、富士川町の穂積地区は柚子の生産が盛んで、柚子を使った加工品がたくさんあります。これをスープに加えると味に変化が出て、もっともっと食べられます。七味を加える方が多いですが、私は柚子胡椒をのせるのがお気に入り!この柚子胡椒も道の駅富士川で購入できます。
来福を願って作り続けられてきた郷土料理「みみ」、ぜひ一度味わってみませんか。
山梨県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエプロ・フードツーリズムマイスターの村上由実でした。