提携産地レポート

愛知県JA豊橋トマト部会 産地を訪問いたしました

「モスバーガー」を運営されるモスフードサービス様の定期監査に同行させていただき、JA豊橋のトマトハウスと選果所を訪問いたしました。
 
 
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愛知県の東南部に位置し、平坦な地形と穏やかな気候に恵まれた豊橋ですが、冬場は北西の季節風「三河のからっ風」が吹く地域。今回はさらに雪も混じっていた中での訪問でした。
 
現在、JA豊橋トマト部会には150名ほどの生産者の方々が在籍しています。毎年、部会として反省会を行い【赤くて、しっかりしまって、美味しいトマト】を作るために話し合いを重ね、栽培の技術向上に熱心に取り組まれている皆さんです。
 
部会長である大竹浩史さんのハウスを見学させていただきました。

 
部会内では「土耕栽培」から「水耕栽培」に移行しており、今やその割合は4:6程度。新規就農の方や、若い跡継ぎの方のほとんどがハウスの水耕栽培に移っております。  

 

養液栽培のメリットは・・・

 

① 収穫率が飛躍的に向上
土耕では二期、三期作と季節とともにトマトの株を新しく植え直していたのに対して、水耕栽培では樹が病気になりにくいため、1本の樹から長く収穫することが可能になりました。そのため収穫量は土耕に比べて2倍近くになったそうです。
 
② 減農薬栽培がしやすい
養液栽培では養分が土に吸収されるといったことがなく、成長にあった養分を必要な割合で与えることができるため樹がより健康に育ち、農薬を使う頻度を落とすことができます。
 
③ 生産管理が細かくでき、人件費が削減できる

温度、湿度、養液の内容は時間やその日の天候により細かく変更ができ、その時々の最適な環境を保てるためトマトの樹が病気になりにくいそうです。そのため、管理の人件費を抑えることができます。

 

 

しかし、よいことづくめに見える水耕栽培にもデメリットはあります。
 
① 土耕に比べ初期費用は格段に高い
ハウス内をコンピューター制御で細かく管理する為、始める時点で何千万円も必要になります。
 
② 管理維持費も高い
コンピューター制御する装置自体が完全な日本製ではない為、壊れても輸入先のオランダからの取り寄せになる為、部品一つ取り寄せても40~50万円くらいかかってしまうのだそうです。
 
さて、こうして最新技術で栽培され、収穫されたトマトは、これも機械化が進んだ選果所で選別されます。
   
私が見学した日は約1万ケースの入荷がありました。このセンターでは1万5000ケース程度であれば問題なく選別できるそうです。  
 
どんどん流れていくトマト。全部で6レーンあり、基本的に1レーンで1生産者になります。
 
カラーチャートの通りに色が回っているかを検査し、
 

下の写真の「くぼみ」にトマトを乗せて重量をチェック。大きさ別に選別していきます。
 
各レーンより1つにまとめられ

 
センサーを通ると大きさが左の写真のように白抜きで出てきます。

 
センサーを通過すると形の他に様々な項目も一瞬で測定されます。
 
 
下の写真はLサイズを箱詰めしているもので、吸盤でトマトを吸い上げ奥にある箱にきれいに詰めていきます。
 
他の産地と同様に、豊橋でも人手不足が深刻な悩み。こうして機械化が進んでいることで、大規模な出荷が支えられています。
 
ちなみにアナログな工夫もあり、下の虎は鳥がセンターに迷い込まないための鳥よけです。

 
トマトの大産地の豊橋ですが、全国の例にもれず生産者数は年々減少しているとのこと。しかし栽培効率のよい水耕栽培に以降していることで、収穫量は落とさず現状を保っています。
 
生産者の方々の思いと努力、最新技術が育み豊橋のトマト。6月頃までシーズンが続きます。モスバーガーのお店でぜひご賞味くださいませ。

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