まつのベジタブルガーデン

青森県青森の資源が生んだ和食材「生わさび」(前編)

まつのベジフルサポーターレポート

青森県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ、ベジフルビューティーアドバイザーの欠畑(カケハタ)睦子です。

私が育った十和田市赤沼地区にある名水百選、神秘と伝説に満ちた「沼袋の名水」。その清澄で豊富な水に恵まれた沼袋名水公園の近く、沢田地区には90年近く続いてきたワサビ田があります。

今回は知る人ぞ知る「十和田ワサビ」をご紹介します。

ワサビと言えば日本三大ワサビ処、静岡・島根・長野が有名です。栽培方法は大別すると渓流や湧水で育てる「水ワサビ(沢ワサビ・谷ワサビ)」と畑で育てる「畑ワサビ」がありますが、「十和田わさび園」では青森でもめずらしい沢ワサビの緑茎系「鬼みどり」と赤茎系「真妻(マズマ)」の2品種を栽培しています。

環境に対し極めて敏感な作物といわれるワサビの栽培条件は、なにより豊富な澄んだ流れのある綺麗な水と日光の直射のない森林があること。八甲田連邦が望める奥入瀬川のほとり、水田が広がる名水処、まさにここが適地なのです。

この日の気温は24度。この時期ですでに多くのとんぼや蝶が飛び交い、水場には驚くほどの虫が生息しています。セリや収穫を終えて綺麗な花を咲かせているクレソン、みず(ウワバミソウ)などたくさんの山菜も自生していました。

ワサビの花は2月に開花しますが「十和田わさび園」では出荷はしていないそうです。

ここでワサビが栽培されるようになったのは1930(昭和5)年。静岡から持ち込んだ苗を植えたのが始まりで、現在まで受け継がれてきました。当時は3ヵ所の滝が流れるほど水量も多かったといいますが、水田の基盤整備により、今は浸透水だけが流水しています。現在30アールほどのワサビ田の水温は常に11度。冬はワサビの成長点が凍らないようビニールで覆って管理しています。「冷たくて夏場でも素足では入っていられません!」と話すのは、「十和田わさび園」3代目の東茂子さん。


こちらが引き抜いたばかりのワサビ。通常食用としている根茎はたくさんの茎や根に覆われ、それをタワシで洗いながら丁寧に仕上げていきます。手のかかる仕事で冬はとても厳しい作業です。



出荷先に合わせて選別するそうですが、この日採ったワサビは12~13センチと太くて大きくて、その立派な姿に驚きました!

わさびは収穫まで2年かかります。

苗を定植した1年目は抑えめに、2年目は多めにと水量の調整が必要で、ハコベなどの雑草を取ることも必須。ミネラル分の豊富な綺麗な水だけで育つ、まさに自然の恵みのたまもの!その美味しさは格別です。主に地元の道の駅やレストラン、市場へ出荷されています。

後編では、異なる栽培方法で育つ青森のワサビをご紹介します。

青森県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ、ベジフルビューティーアドバイザーの欠畑睦子でした。

 

 

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