まつのベジタブルガーデン

愛知県梅雨のシーズンを鮮やかに彩る「紫陽花」

畑の社会見学

愛知県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエプロの中神ルミ子です。

梅雨に入り、雨の恵みを感じる季節となりました。この時季の風物詩として親しまれている「紫陽花(アジサイ)」は、見かけるとついカメラを向けたくなりますね。実は、アジサイ(鉢花)の出荷量日本一は、愛知県田原市なのです(平成28年農林水産省統計データより)。

第一出荷場の前の道は通称「紫陽花ロード」と呼ばれ、ヤシ科の木の間からアジサイが顔を出しています。3km続くこの道は癒しの道ですね。

ここ田原市のある渥美半島では、約40年前から温室内でのアジサイ生産が始まりました。現在は約60戸の生産者がおり、年間およそ150万鉢の出荷量を誇ります。ハウスでも生産してるので、2月頃から出荷場で見ることができます。その生産者の一人、岡田成人(なるひと)さんを取材しました。

岡田さんは約50種類を栽培しています。これが出荷直前のハウス内の様子です。

(写真提供:岡田成人さん) 

これは母の日直前の写真ですが、岡田さんはこれらのアジサイを10日間で出荷しました。「必ず出荷しないといけない日が決まってるから逆算して作業を決めています。今年は暑かったから思ったように花がコントロールできなくて苦労しました」と岡田さん。

アジサイは寒さにあてないと花が咲きません。挿し木で増やした株はまず露地で寒さにあてるのです。そこで難しいのは冬場に凍らないようにすることと、ハウスの中に入れるタイミング。花のつき具合、温度、出荷日などを総合して決めるそう。ハウスの中に入れた後も温度のかけ方、水やりなど細心の注意を払い、最初に決めた出荷日に合わせて作業を行います。私は週に1~2回鉢花の出荷場へ行きますが、このような苦労があって素晴らしい鉢花が出荷されることを改めて知りました。

ところで、アジサイは大きく分けて3種類の色があります。青系、赤系、白。土を変えると色が変わると言われてますが、どのように色が変わるのでしょう。

アジサイは同じ苗でも土の成分が違うと色が変わり、土の酸性度が高いと青、アルカリ性度が高いと赤い花が咲くそうです。アジサイの花言葉が「移り気」というのも納得です。白い花はアントシアニンという色素を持たないので、どんな土に植えても色は変わりません。

これは同じ品種ですが、土のphを変えて違う色に仕立てているそうです。

アジサイの原産地は日本。それを世界に紹介したのは鎖国時代に医師として来日したドイツ人のシーボルト。彼は自然科学の研究にも情熱を注ぎ、日本滞在中に数多くの植物の採種と調査分類を行ったそうです。その後ヨーロッパで育種が栄え、ヨーロッパから日本へ逆輸入という形で入ってきています。英名ではハイドランジア(Hydrangea)。ギリシャ語で「水の器」を意味する言葉を語源としています。

さて、アジサイの咲き方ですが、大きく分けて2種類あります。まずは「がく咲き」。中央の花の周りを装飾花が囲んでいます。

もう一つは「てまり咲き」。丸くこんもりと咲くのが特徴です。

アジサイの種類は数百種類にものぼると言われていますが、市内で栽培してる品種を少しご紹介しましょう。

上「アムステルダム」・下「グリーンファイヤー」


上「アデュラ」・下「チボリ」

 
上「バニラスカイ」・下 「コンペイトウ」

 
上「おたふく」、下「美空」


上「卑弥呼」、下「富士の滝」


上「最後の晩餐」、下「巡恋花」


上「月組」、下「十二単」

まだまだ紹介しきれないほどたくさんあります。最近ではちょっと変わった花や珍しい名前のものもありますね。

最後に、岡田さんのハウスの脇に咲いていた不思議なアジサイがこちら。

これで一本なんだそうです。赤系と青系が混じってて不思議ですよね。よく見ると花の形も違います。

「自分が物心ついたときからあったアジサイです。不思議ですよね」と岡田さん。日本原産のアジサイ、まだまだ奥が深いですね。

愛知県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエプロの中神ルミ子でした。

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