まつの営業推進部の倉林早穂です。先日、埼玉県加須市にある、トキタ種苗・大利根研究農場にて開催された「オープンデー2018」へ行ってまいりました。
トキタ種苗は、2017年に創業100年を迎えた種苗会社。イタリア野菜や新顔野菜の開発に積極的に取り組み、苦味が少ない「カリーノケール」、茎も甘いスティックサイズの「カリフローレ」等、ユニークな品種を生み出しています。
普段なかなか立ち入ることのできない研究農場。毎年2日間のみ青果関係者に圃場が公開されます。その様子とおすすめの新顔野菜をご紹介致します。
インスタ映えが狙えるイタリア野菜
イタリア野菜は多くが輸入されていますが、日本の風土に合わせて品種改良された、日本向きのイタリア野菜の生産地が、国内で徐々に広まりを見せています。
産地との距離が近いため、何よりも新鮮であることが国産のメリット。また、華やかなイタリア野菜は、美味しさはもちろん、目でも楽しく、まさに「インスタ映えする野菜です。
茎まで甘く歩留まりもよい、スティックタイプのカリフラワー『カリフローレ』
生でも炒めても食べられます。畑のカリフローレは、スティック状のかわいい形からは想像できない大きな株。収穫後、小房に分けて袋に入れ出荷されます。タイミングを逃すと茎がのびて筋張ってしまうため、収穫どきの見極めも大切。生産者の方々がとても気をつかう野菜です。
スティック状をいかしてサーモンや肉をまいたり、バーニャカウダにもおすすめ。
あらかじめ小房にわかれているためそのまま使え、やわらかな茎がウリですので捨てるところもなし。作業性、歩留まりの面でもお勧めの野菜です。
味が少ないケール、フリルが華やかでボリューム感UP『カリーノケール』
食べやすく苦味やえぐみが少ないのが特徴です。日本では苦い青汁が定番のケールですが、アメリカでは肉料理の付け合せにサラダとして食べる方が多く、今後サラダ野菜としての広がりが期待できます。
春~夏のやわらかい葉はおおぶりのカットで食感を楽しみ、秋~冬の分厚い葉は細かく刻んでチョップドサラダに。さっと炒めたり、鍋に入れても美味しい野菜です。
ソテーや煮込みで、コクのある味わい『カーボロネロ』
別名黒キャベツと呼ばれ、ケールの一種。炒めるだけでおいしい深みのある味。煮込み料理など、色々なメニューでご利用頂けます。
(カーボロネロとアンチョビの蒸し炒め)
華やかな彩りとクセになる大人の味『ラディッキオ』
緑と紫のコントラストが華やかで一際目を引いていたのが、ラディッキオ。外側の葉が青いほど内側が赤くなります。紫キャベツのようにも見えますが、レタスの一種。ほろ苦さが、主役を引き立て、肉料理の付け合せやリゾットのアクセントにも。
ここまでは、葉物野菜をご紹介致しました。続いて、ミニトマトやナスのご紹介です。人気のハート型のミニトマト「トマトベリー」や、紫色や緑、オレンジのミニトマト。ゼリーの部分の酸味の強さがそれぞれ違うため、食べると味に変化があります。
2019年デビューの新品種、クリームイエローのミニトマト『サンシトロン』
クリームイエローのミニトマト。黄色のミニトマトはすでに多くの品種がありますが、『サンシトロン』はこれまでにない淡い色合い。商品として出回るのは2019年からとのこと、デビューが楽しみな新品種です。
加熱するとトロリととろける、つややかな美白のイタリアナス『メランツォーネ・ラテ』
とろけるような食感が特徴。素揚げやグラタンなどがお勧めです。イタリア野菜は果実の大きさが揃いにくいものもありますが、『メランツォーネ・ラテ』はまっすぐな果実形状で、サイズも揃いやすい品種。味がよく、使い勝手もよいナスです。
研究圃場には、イタリア野菜以外にも小松菜やキャベツなど馴染みの野菜も。通年で出回っている野菜ですが、実は年間を通じたリレーをつなぐために、季節ごとの作型に対応する多数の品種があります。
例えば、小松菜は「夏の甲子園(高温期、多雨に強い品種)」、「秋冬のエース(秋まき冬まきに向いた品種)」等。特徴をとらえたユニークなネーミングも印象的でした。
品種改良された野菜がデビューするまでには、5~10年以上もの時間がかかります。美味しく、見た目も華やかな新顔野菜。今後も、メニューに新たな彩りと楽しさを提供してくれる新顔野菜から目が離せません。
弊社では、種苗会社・生産者・お客様とをつなぎ「タネ(品種開発)」にまで遡って、メニューの価値を高める野菜を安定供給するための取り組みを進めております。今後もさまざまな情報をご提供し「つなぐ」役割をより深めていけるよう努めてまいります。