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大山町の発展は、1961年に大分大山町農協が「梅栗植えてハワイに行こう」をキャッチフレーズに掲げたことから始まる。そこにあるのは、ないものねだりではなくあるものを探す精神。町の8割が山林で、農家1戸あたりの耕作地は平均40アール。平野部のような広々とした田んぼや畑はない。しかし、水はけのよい傾斜地ならある。だったら平地と同じ農業ではなく、田んぼに梅を植えよう、畑に栗を植えよう。面積あたりの収益をあげて、みんなで稼いでハワイに行こう。キャッチフレーズにはそんな思いが込められているという。 「何もない山奥」は山菜や野草の「宝庫」だ。 ウド、ワラビ、タラの芽・・・ 春のこの時期、売り場には山菜が溢れていた。
市場出荷では捨てられる大根の葉もここでは商品。
加工品も豊富でゆずこしょうだけでも赤・青・黄、大瓶、小瓶とさまざまな商品が並び、思わず手が伸びる。
買う楽しさは、選ぶ楽しさにある。そんな心理が計算されているかのような売り場だ。特産の干しシイタケはずいっと奥まで5メートル近く棚が伸び、圧巻の品ぞろえ。
ラベルに「木の花ガルテン」とあるのは、大山町農協が自前の加工所でつくったもの。
敷地内にはベーカリーもあり、町内産の野菜やハーブ、古代米がパンに使われていた。青果や米として売るよりも何倍も収益になる。
加工や販売も農協が手がけることで町の収益を確保し、地域のなかで経済が回るようになる。最近よくいわれる6次産業化の理想形の一つがここにある。 売り上げのうち木の花ガルテンの手数料は2割で、 8割は生産者の取り分。市場出荷なら農家の手取りはおそらく2割前後。真逆の構造だ。だから農業で稼げるし、ハワイにも行ける。 「ハワイ」にはレジャーの意味もあるが、海外を見て知識や経験を得ることが本来の目的なのだという。そうして農村の人材を育て、新たな知恵を生む素地をつくることで町がさらに潤うようになる。大山町ではそんな好循環が生まれている。直売所と並んで人気なのが、併設レストラン「オーガニック農園」のビュッフェ。
旬の野菜や山菜をたっぷり使った農家のお母さんたちの手料理が並ぶ。この日は約40種類。肉を使っているのは肉じゃがやから揚げくらいで、ほとんどが野菜中心だ。
季節ごとの野菜でメニューが決まるため、レシピはないのだという。