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2010年 11月 26日 (金)

「都市の食」シェフと生産者を結ぶ現地視察ツアー

by シニア野菜ソムリエmiwa

先日「都市の食」ビジョンのサポート企画
シェフと生産者を結ぶ現地視察ツアーに参加してきました。
(主管:エコッツェリア協会)※1

今回の現地視察ツアーは国分寺市の小坂農園さん
武蔵野市の櫻井農園さんでした。

そしてご一緒したシェフは
丸の内シェフズクラブ※2」より
イルギオットーネ丸の内店のシェフと
アンティカ・オステリア・デル・ポンテのシェフ。

いずれもイタリアンのシェフの方でした。



まずは丸の内からバスで約1時間の小坂農園さんを見学。

国分寺市の住宅街の中にある農園で
遠目に住宅が見えています。



農園主の小坂良夫様より農園の特徴や
様々な野菜の説明を受けました。



堆肥は近くの東京競馬場からの馬糞とワラを引き取り、
近所のシルバー人材センターから地域掃除のごみ、落ち葉をもらい、
それから農園の根菜類の葉物を発酵させて作っているそうです。

(写真左上)

また減農薬を心がけ、堆肥の他に気を遣っている手法は、次の通り。

フェロモンストラップ(写真右上)
 ストラップ内にフェロモンをしかけて、
 オスの害虫を呼び寄せて殺虫する方法。

黄色い害虫テープ(写真左下)
 テープの粘着力で害虫を吸い寄せる方法。

野菜の上から網をかけて害虫予防(写真右下)




市場外流通で大手の近隣スーパー2店舗に
小坂農園さんのコーナーがあり、
お客様を飽きさせないため、
少量多品目を心がけているとのことでした。

定番野菜から珍しい野菜2ヘクタールの土地で、
少量ずつ栽培に成功されているのには驚きました。

味の濃い春菊(写真左上)
 鍋物をそのまま食べているような深みのある味わいでした。

亀戸大根(写真中央上)
 時計と反対周りにねじりながら引き上げると、
 キレイに収穫できるそうです。

紅化粧大根(写真右上)
 神社の鳥居のような鮮やかな朱色の大根。
 自然の恵みでこのような色が出るのですね。

タアサイ(写真左)
 しっかりとした深みのあるグリーンが
 食欲をそそりました。

あやめ雪かぶ(写真中央下)
 根の上部がほんのりとピンクの可愛い蕪。
 土から見えている部分がちょうどピンクで
 収穫もしやすい品種でした。

黒大根(写真右下)
 収穫するのに苦労しましたが、
 表面が真っ黒で大根というより、
 木の枝のようにしっかりとしていました。



昼食は小坂農園さんで採れた新鮮な野菜を
奥様が代々伝わる伝統の味で振舞ってくださいました。

すべて素材の味が活かされた薄味で、
まさに健康美容食

私たちの健康は畑から育まれた野菜から
助けられているのだな
、と感じました。

キレイな色の蕪など見た目も美しいお料理は、
野菜の色が持つ栄養素などで、さらに美容効果もアップしそうですね。

昼食の後、小坂氏から再度お話があり、

東京都のエコファーマー認定を取ったこと、
無駄な栽培が出ないよう、
まず売り先を決めてから作るようにしていること、
100%はムリだけど、60%はお客様の希望はクリアしている
など小坂氏の熱い思いが伝わってきました。

そして最後に、

自分が作った野菜を一流の人たちにお料理してもらえるのが
一番嬉しい。


と、おっしゃっていました。

伝統を守りながら、今はやりの珍しい野菜も手がけるなど、
探究心あふれるプロのお仕事に感動しました。



次は武蔵野市の櫻井農園さんに移動。
やはり住宅街の中にある農園で、
農園の4方面、みごとに住宅やマンションに囲まれていました。

櫻井農園9代目、櫻井敏史氏の説明によると、
昔は住宅街もマンションも全て農園でしたが、
遺産相続などの関係で近隣の農家さんが
土地を手放していったそうです。




農園に着くとすぐ、大根の食べ比べが行われました。

櫻井農園さんで採れる5種類の大根です。

左より、
聖護院大根
味一番大根
福本丸(よく見られる一般の大根)
紅丸大根
辛味大根

櫻井農園さんでは近所の団地から出る生ごみをもらってきて
それを堆肥にし、収穫した野菜はその団地に売りに行って、
地域循環型を実現しているそうです。

また肥料は与えすぎると野菜が育たないので、
バランスの良い土になるよう肥料の種類にもこだわっています。

同じ土がベースの大根でも
種類が違うと個性も味も育て方も違ってくるので、
研究熱心な櫻井氏のお話を参加した皆さん、
メモを取りながら必死に聞いていらっしゃいました。



櫻井農園さんは元々代々、ウドさつま芋の農園だったそうです。

しかし、連作障害を避けるため
アブラナ科の野菜を栽培するようになり、
少量多品目の野菜の栽培に成功したそうです。

大根の他に、ウド、ニンジン、キャベツ、
カリフラワー、ロマネスコ、紅あずま、紫芋
 などを栽培されています。



こちらは地下にあるウド室の入り口です。
今、ウドは春に向けて栄養を溜め込んでいる時期。
このウド室は軟白ウドを作るに必須となるなのです。

関東では武蔵野市がウドの発祥の地とも言われているそうです。

なかなか日本の農家は後継者が育たない、
と言われています。

小坂農園さんは息子さんと一緒に準備をし、
櫻井農園さんの9代目、櫻井敏史氏はまだ20代!

両農園も立派に後継者の方が、伝統を守っていました。


ここで朝収穫された野菜が、その日のディナーで料理出来たら最高!

とシェフは口を揃えて、おっしゃっていました。

そのためには、やはり産地とレストランを結ぶ橋渡し役が必要です。

それはまつのの仕事。
その実現に向けて我々も動き出しています。


※1エコッツェリア協会とは、大手町・丸の内・有楽町の
  環境共生型のまちづくりに貢献する事業を展開しています。

  その取り組みの中に三菱地所が中心となる『食育丸の内』があります。

  『食育丸の内』は「都市における食に関する問題」に取り組む
  プロジェクトで、食育・安全安心の食材の生産支援・
  国内自給率(特に大都市圏)の向上、
  フードマイレージの削減などの情報発信を目的としています。


※2丸の内にあるシェフたちが食に関する情報提案を目指すために
  『丸の内シェフズクラブ』を発足し(『食育丸の内』の一環)
  都市(東京)関東近郊の安全安心の食材生産者と取引をし、
  その食材を使った料理の提案をするなどの取り組みをしています。


※今回の視察ツアーの企画はグリーンスタイルさんでした。


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