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【教育・研修】自衛官の「心構えと義務」に組織運営のあり方を学ぶ

2018611日(月)~13日(火)の23日の日程で、陸上自衛隊東部方面隊研修に幹部社員が参加致しました。出荷を司る関東流通センターより執行役員とセンター長代行、仕入れ部門より若手幹部の3名です。

自衛隊には陸・海・空あわせて約22万人の自衛官が所属し、なかでも陸上自衛隊は約13万人を擁する大組織。国際紛争や災害等の有事に、それだけの規模の組織が規律をもって動く、その組織運営のあり方の一端を学ぶ貴重な機会となりました。

企業参加の受け入れは自衛隊の広報活動の一つとして行っているものであり、企業側としては社員教育が導入の目的。今回は損害保険会社やメーカー、運輸業など幅広い業界から30社を超える企業の参加があり、異業種交流の機会ともなりました。

以下、参加者のレポートより内容の一部をお伝えいたします。

自衛隊研修

自衛隊の組織力を支える「心構え」「義務」「OODAループ」

組織力の強化は「個」の力の強化から。人財育成が欠かせませんが、自衛隊では教育の指針として「5つの心構え」が定められ、全国22万人がこの指針のもと自衛官としての教育を受けます。

5つの心構え

1.使命の自覚
2.個人の充実(任務遂行に必要な知性や体力を養う)
3.責任の遂行
4.規律の厳守
5.団結の強化

また、職務に向かう姿勢として「6大義務」が定められています。

6大義務

1.職務に専念する義務
2.職務を遂行する義務
3.命令に服従する義務
4.指定場所に移住する義務
5.秘密を守る義務
6.品位を保つ義務

OODAループ(ウーダループ)

アメリカ空軍で生まれた意思決定の考え方のことで、以下の頭文字をとった言葉です。

Observe=状況をよく観察する
Orient=情勢に適応する
Decide=意思決定する
Act=行動する

PDCAが予め定められた計画に基づいたものであるのに対し、OODAは想定外の事態に対応できることが特徴。有事に臨機応変に最善の行動がとれるよう、OODAループを取り入れた教育をされているとのことです。

これらはいずれも、企業の組織運営に通じるもの。研修体験の随所に自衛隊の組織の在り方を垣間見る場面がありました。

【射撃演習】徹底した指揮命令系統

自衛隊研修

標的は14個、最大距離は400m、狙撃手はスナイパー(遠距離)、中距離、近距離と担当が分かれます。狙撃手以外にも現場指令員、総司令員、敵軍監視員と四班に分かれ、寸分の狂いのない連携がありました。

指揮命令系統も小隊長、中隊長、大隊長と数十人の中での役割がきちんとしており、役割以上・以下のことは絶対に行わない仕組みが徹底されています。

自衛隊では「規律」は部隊の生命であり、規律に狂いが生じたら本来は可能であることが不可能になるという緊張感があります。そのために「規律の厳守」「命令の服従」という「心がまえ・義務」がありますが、それは指揮官の指示が的確であることが大前提。それがあってこその連携・統率なのだと感じました。

【防御訓練】責任の遂行・規律の厳守

自衛隊研修

上陸した際の敵軍からの攻撃に防御する「疑似戦闘訓練」。50㎞の道のりを重量20㎏の装備品を付けて18時間歩いたところがスタート地点で、ここから3日間演習するという精神的にも肉体的にも過酷な訓練です。今回も脱落者が数名出たとのことで、新入部隊員の登竜門となっています。

実演的な内容が多いことも特徴です。例えば、やぶの中に穴を23時間程で作り上げてそこに隠れ、敵の攻撃を待ちます。雨の日も天候に関係なく、指示があるまでその場でじっと待機します。作戦室も地下につくります。こちらは爆撃にあっても耐えられるように、厚みのある鉄板で覆った作戦室を7~8時間で作り上げます。

今回は天候が悪かったが、旅団長によると訓練には良い天候とのこと。悪条件のもとで訓練しなくては訓練にならないため、悪天候であればあるほど良い訓練ができると言われていました。

そのほか、大型輸送ヘリコプターCH-47J(通称チヌーク)の体験搭乗や自衛隊研修

天幕での野営体験
自衛隊研修

など貴重な体験をさせていただきました。

最後に心に残ったのは、岩村公史・第10代第12旅団長の人財教育についてのお言葉です。

曰く「これからは答えのない時代の人材育成となる」

若手の近年の価値観の多様化を受けとめたうえで、変化のボールを投げかける柔軟性を教育者側も持ち合わせなくてはならないという旨のお話をいただきました。

そして、これからはPDCAサイクルからOODAサイクルへと意識を変えていくことが必要であること、その意味でも「現代の教育の転換期が来ている」との事です。

また、これからの人口減少を考えると「伝統を継続させるための教育」を、未来を見ながら行っていかなければならなず、そのためにもこれから新しい人財が入っても恥ずかしくないような人間になること、さらに、会社全体が若者や新人を育て上げていくことを土台に置き、理念のある教育を実施してしていかなければならないと感じました。

自衛隊研修での学びは、毎月恒例の早朝勉強会「まつの塾」で参加者より発表を行い、従業員全員で共有。「OODAループを早速マネジメントに取り入れていきたい」等、それぞれの立場での気づきの声が聞かれました。

自衛隊研修

陸上自衛隊東部方面隊の皆様、この度は貴重な機会をありがとうございました。

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