雪が溶けたら、何になると思いますか。
東京でも積雪を見ることができた今年の冬も、もうすぐ終わりが近づいてきました。雪は世界を一変に白くし、新しい世界へと変えてくれます。一方で、寒さの中では晴れやかな息吹は生まれません。少しずつ溶けていく雪の先には、何が待っているのか。
雪が溶けたら、水になります。でも、私の好きな本は、こう答えてくれます。
「雪が溶けたら、春になりますね。今はどんなに寒くても春はまだやってくる。不思議ですね。雪は必ず溶けていきます。必ず」
昨今の情勢は、新型コロナウイルスにはじまり今やロシアとウクライナの問題にまで、ずっと雪の中にいる気分です。でも、どんなに寒かった冬も、必ず春はやってくる。終わる冬に感謝しながら、迎える春に楽しみたい期待を込めて雪解けを待ちましょう。
最後の冬れんこん、これからの新れんこん
今週の特集は「れんこん」。れんこんのシーズンは2回あります。10~3月の秋冬れんこんと、6~9月の新れんこん。夏に向かって水分と太陽をいっぱい浴びた新れんこんは、水分が多いのでサクサクした歯応えが特徴です。実はれんこんは生でも食べられる野菜。初夏の新れんこんは、薄切りにしてサラダにしたり、酢の物や漬物にするのがおすすめです。
一方、今食べられるのは「秋冬れんこん」。風味が増して、ほっくりした食感なので、煮物やスープがよく合います。大きめに切って、このホクホクした味を楽しむのがポイント。
同じ「れんこん」ですが、季節に合わせた特徴を知っているだけで、楽しみ方は広がりますね。
調理方法で食感をチェンジ!れんこん七変化!
れんこんは調理方法で、食感が変わるので幅広い料理ができる野菜です。
- 大きく切って、長く加熱→ホクホク
- すりおろして加熱→モッチリ
- 繊維を断ち切る輪切り→シャキシャキ
この特徴を使うとこんな感じで料理に幅が生まれますよ。
すりおろしたれんこんに、だしと豆乳を混ぜたれんこんスープ。モッチリした食感で、まるでとろろのような食べ応えが◎体調が優れない日や、ダイエット中の腹持ちを気にするときにおすすめの食べ方です。
輪切りに切りがちなれんこんも、縦に切るとまた違った見た目で新しい食感を楽しめます、れんこんを縦長に棒状に切って、バターやごま油など油脂と一緒にトースターで包み焼きに。ホクホクで濃厚な味が楽しめるのは、今が最後です!
薄切りにして酢につけると、さっぱりした酢の物に。写真では梅合わせ、梅酢和えにしています。もうすぐ桃の節句!ということで、野菜寿司にしてみました。この食感と甘味は、魚介の寿司では味わえないおいしさです。
いつもの煮物も、せっかくホクホクの秋冬れんこんの時期ならば大きめに切って煮込むのがおすすめです。写真では、いつものれんこんのきんぴらを、だしと一緒に煮込んで甘辛い煮物にしました。といっても、いつものきんぴらから変えたのは、切り方と煮込み時間だけ。(+煮込むために水分)。長時間の過熱でホクホク感が増す今だからこそ、やりたい食べ方です。
最後は、薄切りにしたれんこんのシャキシャキさと、すりおろしたれんこんのモチモチさを合わせたれんこんチヂミ。切り方を変えただけで、れんこんの役割も2倍に。本当にカメレオンのように幅広い食べ方が生み出せるのがれんこんの良さですね。
れんこんがおいしい時期はもう最後。またの新れんこんのシーズンが来るまでに、たくさん食べ尽くしましょう。
2週間の現場仕事を通じて
2月はずっと料理人として現場のお仕事をしていました!朝からずっと立ちっぱなし、業務用オーブンの熱風にも、水しか出ない水道も、「大変だった」という気持ちより「楽しかった」がずっとずっと優った時間でした。元々働いていた調理師専門学校は、星つき料亭の料理長達の先生方に囲まれての現場職場。真剣に食材と道具に向き合う時間が、私の心の奥底にあった「料理ってすごい!」というときめく感覚を思い出させてくれました。
コックコートの袖を折る瞬間、タブリエの紐をギュッと閉めるとき、何より出来上がった料理と対面するきらめきに支えられ、あっという間の2週間を過ごしました!
こちらのコラムも長期でお休みをいただきましたが、3月からは隔週火曜日朝6:00で更新させていただく予定です。どうぞよろしくお願いします。
次回の更新、3/15(火)朝6:00にまたお会いしましょう。
小鉢 ひろか/社会問題を料理で解決する 料理コンサルタント
instagram: https://www.instagram.com/kobachi_hiroka/
☆「まつのFresh!宅配」はこちらから!