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栃木県のまつのベジフルサポーター野菜ソムリエの籠谷めぐみさんに同行していただき、栃木・茨城のトマト生産者、鹿沼市の丸福農園さんと結城市のファームアベタさんに うかがいました。
(写真下段・右は栃木の野菜ソムリエ日向野和美さん)
まず訪ねたのは丸福農園の福田茂輝さん。
福田さんがつくるのは、中玉トマト「福来茜(ふくあかね)」と大玉の「福娘(ふくむすめ)」。今回は、福娘のハウスを見せていただきました。
放射状のスジがくっきりと浮かんだ見るからに果実の締まったトマトです。
品種はソプラノ。種苗メーカーのカタログにも載らないつくり手の少ない品種なのだそうです。
出荷は12月から6月末までで、今は後半戦のただ中。樹が十分に育ち味が乗ってくる時期です。
糖度を計らせていただくと8度ありました。
一般的なトマトの糖度は4~6度。8度は十分に高い数値ですが、「甘いだけのトマトにはならないようにしています」と福田さん。まさに同感です。
「トマトの樹に無理をさせないように」と16段で芯を止めて、6月末には終了。9月まで土を休ませ、翌シーズンに備えて太陽熱で土壌消毒し肥料の配合を毎年少しずつ変えてベストなバランスを探る……
美味しいトマトには理由がありました。
しかし、味が乗るこの時期は気温の上昇とともに各地の出荷が増えトマトの相場が下がる時期でもあります。そして、どこもシーズンを終えるお盆から10月ごろまではトマトが一気に減少します。
これを何とかできないかと考えていたら福田さんも同意見でした。
「真夏のトマトも技術的なメドが立ちましたので、少しずつ始めようと思っています」とのこと。楽しみです。
看板商品の「福娘」「福来茜」に加えて今シーズンからカラフルミニトマトもつくっておられます。
こちらは調理用トマトのサンマルツァーノ。
これらのトマトでつくったジュースやパスタソースは近くの直売所の人気商品でした。
「加工品をつくるのは、これで儲けたいというよりはトマトが一番美味しいときの味を知って欲しいということがあるんです。
今の時期はいいトマトがたくさんできますが美味しくてもロスになるものも出る。その味をトマトがない時期に味わって、次のシーズンにはうちのトマトを食べていただければと」
これもまったく同意見です。まつのでは、旬の野菜・果物のロス品を無駄にしない取り組みの一つとしてまかないを実施していますが、ピーク時にはとても使い切れません。旬のおいしさを何とか保存できないか。その答えの一つがここにあります。
次に訪れたのが、茨城県結城市のファームアベタ、阿部田誠さん。
阿部田さんがつくるのは中玉トマト「ぜっぴん娘」、品種は華おとめ。
福田さんのソプラノ同様、栽培する人が少ない品種に挑むつくり手です
この日の糖度は9.6度。
高い数値ですが、やはり福田さんと同じく「糖度は追求していません」といいます。
田さんの圃場もそうでしたが、
阿部田さんのハウスも整然として美しい。
通路には葉っぱ一枚落ちておらずわき芽が丁寧にかかれて、トマトに日光がよく当たるよう通路側に枝が固定されています。
丹念な手仕事が生むその名も「ぜっぴん」のトマト。しかし「高いトマトにはしたくない」と阿部田さんはいいます。
「立派な箱に入って1玉何百円もするようなものは、毎日食べられないじゃないですか。うちのトマトはバラ摘みしてガサッと袋にいれ、100グラムいくらというもの。気軽にたくさん食べてもらいたいんです」
甘いだけではない、本来の旨みがあるもの。高級品ではなく、日々の食卓で楽しめるものを。
品種や栽培方法は違っても目指す道は共通するお二人。栃木・茨城の頼もしいつくり手に出会いました。