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大阪府のベジフルサポーター、野菜ソムリエ、ジュエルフルーツクリエイターの万ノ記子(マンノノリコ)です
全国の各地域で昔から地元の風土・風習・食文化を支え引き継がれてきた伝統野菜。大阪にもなにわ伝統野菜として地域の食文化を支える伝統野菜が17品目あります。今回はそんな伝統野菜の中でも一時は途絶えてしまったと考えられていた田辺大根をご紹介いたします。
畑一面に広がる緑は田辺大根の元気な葉です。
こちらは上町台地の端に位置する大阪市東住吉区田辺地区。江戸時代、水害がよく起こりやせた土地でも育つ農作物を作ろうと試行錯誤のうえできたのが田辺大根です。伊吹山大根(滋賀)と京大根(京都)を掛け合わせてできたそうです。全体的に白色の円筒形で末端が少し膨らんでおり丸みを帯びています。
水はけの良い土地で太く長く育つ青首大根。それに比べやせた土地で育つ田辺大根は丸みを帯びた短い白首大根。肉質は緻密で柔らかく生で食べると辛く炊くと甘味のある大根で煮崩れもしにくいとしてどんどん普及していきました。葉には毛じ(もうじ)と呼ばれるトゲがなく葉の部分もお漬物にもってこいと重宝されています。
大正時代には電車が開通し畑はだんだんと住宅地に変貌していきました。栽培が難しく冬にしか収穫できない田辺大根の栽培をやめ年中収穫が可能で育てやすい青首大根へと栽培が移行され、徐々に田辺大根は姿を消し田辺地区には美味しい大根があったという伝説だけが語り継がれるようになったのです。そして数十年の時を経て、大阪市の農家が集まる農産物品評会で自家用として栽培を続けられていた田辺大根が偶然発見されました!
その後、栽培と普及に尽力され幻と言われた田辺大根は現代の大阪に甦ったのです。最近では朝市や直売所でも販売されておりとても人気がある大根です。根の部分には、でんぷんの分解酵素であるジアスターゼが豊富に含まれており食べ物の消化を助け、胃腸の調子を整える効果が期待できます。また辛み成分であるアリル化合物は胃液の分泌を高め消化を促進する働きがあると認められています。葉にはビタミンCが根の部分より多く含まれておりビタミンA・B1・B2・カルシウムも豊富で栄養価が高く葉も捨てることなくぜひお料理に使って頂きたいです!日本野菜ソムリエ協会コミュニティ大阪主催の田辺大根収穫体験に参加された野菜ソムリエの土谷さんにお料理して頂きました!
出汁で炊いて米油で焼いた田辺大根ステーキ
田辺大根(葉入り)の炊き込みご飯
火を入れると甘味を増す田辺大根。どちらのお料理もとても美味しそうです。
一時は途絶えてしまったと考えらえていた田辺大根。長い年月を経て、今、なにわ伝統野菜として見事に甦りました。全国各地で脈々と引き継がれ命を繋いできた数々の伝統野菜。これからの若い世代にも文化と伝統が継承され田辺大根のように大切に引継がれることを願います。
大阪府のベジフルサポーター、野菜ソムリエ、ジュエルフルーツクリエイターの万ノ記子(マンノノリコ)でした