まつのベジタブルガーデン

佐賀県自然農法的な水耕栽培で育てるグッドリーフ

畑の社会見学

みなさまこんにちは。佐賀県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエ・食育マイスター前田成慧です。

佐賀県北西に位置し、玄界灘に面する唐津市で県下初のGLOBALG.A.P.を取得した「株式会社グッドリーフ」さんを訪ねました。こちらでは、水耕栽培やミネラル軽石栽培(パミス畑)で葉物野菜を栽培されています。(平成19年JGAP認証農場へ、平成26年GLOBAL G.A.P.の認証取得)

GAP(ギャップ:Good Agricultural Practice)とは、農業生産工程管理の略で「農業生産現場において食品としての農産物の安全確保と消費者からの信頼の向上に向けた適切な生産を実施するための管理ポイントを整理し、それを実践、記録する取り組み」のことです。

グローバルギャップはドイツの民間団体が作っているGAP規格であり、実質的な世界標準と言えます。「食品安全・労働安全・環境保全」などにおいて水準の高い規定です。品質を認証するものではなく、生産工程管理を認証するものなので、商品自体にマークがつくことはありませんが、第三者認証の取得は常に品質の向上を考えた取り組みをしている農場の証。

グッドリーフさんは、もともと農業用の温室設計施工販売やビニール加工、水耕栽培用ベンチなど設計・販売を行う下請会社(有限会社エムテック)をされていましたが、平成10年5月に自社開発のイチゴ用水耕プラントを試作する際に水耕でサンチュを実験的に栽培したのをきっかけに、現在のカタチまで急成長された会社です。自社圃場の規模は65アール、協力農場を合わせると150アール程の広さを誇ります。全てのハウス(ガラス)や水耕ベンチ、循環システムなど自社で設計・施工されています。

「自分の子どもに毎日食べさせたい、安全・安心な野菜をつくりたい。」という思いから、自社開発のオリジナル水耕プラントに徹底した栽培管理が、殺菌剤不使用と減農薬(年に10回も使用しない)の環境を実現しました。「こだわりは農園を良くするためにGAPを導入することで安全・安心を進化させること。今後も安全なもの、美味しいものを作り続けます。営業マンは野菜。食べてもらえばわかる」と、農園主のご夫婦からお聞きすることができました。

左:楢崎元也さん、右:楢崎須眞子さん(野菜ソムリエ・ジュニア食育マイスター)

水耕栽培のシステムはすべて自社オリジナル。播種したスポンジを小型のトレイに移動し、大きくなるとさらに専用のトレイに移し栽培しています。

水質調査は自社で分析機械を購入し定期的に行い、液肥は自社オリジナル。良い菌を殺さないために殺菌剤は一切使わず、水中の常在菌を生息させることで、水温が35度以上になっても根が腐らないそうです。水をしっかりと循環させ、植物に合った肥料のレシピを研究するなど、いろいろ試していらっしゃいました。

「この野菜は肥料が好き、あまり肥料が好きでないなど、植物によって好みがある」と教えて下さいました。循環する水は一律に同じでなく、数パターンに分けて栽培していることも美味しい野菜を作るためのこだわり。余分な栄養を与えないように育てているので酸化しにくいとレストランシェフからの評価の声もあります。

ハウス内は大中小と様々な大きさの野菜が育っていました。計画栽培をすることで安定的な供給が可能となります。また、出荷先のレストランによってはリーフ類の大きさの好みがあるので、注文に合わせた収穫を行っています。ベビーリーフより小さなものがプレミアリーフ、それよりも小さなものがマイクロリーフと呼びます。

見渡すと、バジル、イタリアンパセリ、タイム、ソフトパクチー(食べやすい)、ディル、アマランサスなどありました。「レストランのことを常に考えて、シェフが必要とするものを作りたい!」と、栽培されています。『あそこの農家はなんでもあるよね』と言ってもらえるような農園にしたいとのことで、エディブルフラワーも栽培されています。

エディブルフラワーの農地はちょっと変わった作りです。

2年ほど構想していたものを実現されたとのことで、玄界灘に突き出た東松浦半島の上場大地(以前キウイを栽培してた)の土はミネラルが豊富で野菜もおいしいものができると思いこの土の欠点である排水と作業性を考慮してポット栽培にしました

レストランのオーナーシェフに使ってほしいこだわりの野菜を中央に植えて頂き、周りにはエディブルフラワーを植えています。「ポタジエ」のようです。(「ポタジエ」とは、フランス語で家庭菜園の意味。果樹、野菜、ハーブ、草花を一緒に育てる方法)

さらに、「コンパニオンプランツ」で虫に負けない野菜やハーブ類をここに植えて農薬を使わない自然農法で栽培する!と意気込んでいらっしゃいました。食用バラで塀を作るなど、楢崎さんのこだわりが満載。(「コンパニオンプランツ」とは、お互いに良い影響を与え共栄しあう植物、病害虫を抑えたり成長を助けあう植物のこと。トマトとバジルといった組み合わせなど)

トラクターを持たなくても手軽に気楽に農業ができないか?と考え、ここを『ルンルンfarm』と名付けたそうです。名前の由来は、土を耕した時に高さがあるため作業が楽だったそうで、「ルンルンだ!」と思いついたとのこと。

楢崎元也さんは9代目の農家の生まれ。まだ若い時に真夏のみかん畑で防護服も着ないで農薬散布を続け、夜は酒を飲みを繰り返した際に、突然黄疸が出て肝臓を傷めた経験があります。2ヶ月も治療を要したそうです。その時に、「また農業をするのなら農薬をできるだけ使わない方法でやりたい!」と、キウイフルーツの栽培を佐賀県でいち早く始めたそうです。(その後キウイフルーツ栽培は撤退)

もちろんエディブルフラワーの栽培も農薬不使用です。栄養豊富な良い土壌で作ることで、美味しい花(エディブルフラワー)が育ちます。栽培品種は、ナスタチューム、プリムラ類、ナデシコ類、バーベナ、ラナイ、ノースポール、ベゴニア類、キンギョソウ、スイートアリッサム、プリムラ、デージーなど。見た目にも華やかなエディブルフラワーはレストランシェフに人気です。

ナデシコ類はほんのりと優しい香りで色鮮やか。赤、白、ピンク、紫などがあります。


ノースポールは食用菊のような味でほんのり苦味があります。白い色がサラダのアクセントとなります。


バーベナは癖のない味で食べやすく房から小花を取り食べます。豊富な種類の花びらや色があります。


ナスタチュームはわさび菜のようなピリッとした苦味が少しありますが、アクセントとなり見た目にも鮮やかです。ハスのような葉も食べることができます。ビタミンCやA、鉄分も豊富。


味は淡泊でやわらかいプリムラは料理に使いやすい花です。香りがよくビタミンCが多いのも特徴。色はピンク、黄色、白、紫、赤、オレンジなどがある。


スイートアリッサムはほんのり甘い香りでくせのない味わい。小さな花が房状に咲く可愛らしいエディブルフラワーです。


ベゴニア類は甘酸っぱく肉厚でジューシー、シャキシャキとした歯触りが特徴。酸味があるので魚介類や肉類、フルーツ類とも相性が良く、ビタミンCやAも豊富。生のままで食すとウィスタリンという成分が腹痛や嘔吐の原因となるので、一度に大量に食べるのではなくサラダに少し添える程度で楽しみましょう。

『ルンルンfarm』は、レストランシェフが栽培したい野菜やハーブ等を植えられる貴重な農地です。こだわり土耕自然栽培の野菜やハーブ、エディブルフラワーが収穫できるので、今後発展していくことが期待されています。

私がよく行くスーパーには、グッドリーフさんのミックスリーフとカルフォルニアレタスが販売されています。普段から購入していたので、今回生産現場を見せていただき、安全・安心の生産工程に感心しきりでした。早速カルパッチョにしてみましたが、リーフの瑞々しさが際立ちます。

エディブルフラワーのトッピングを加えると華やかさが増し、食欲をそそりますね。

グッドリーフさんの栽培品種は30以上もあり、様々な葉物類を出荷しています。

多種多様のレタス類は、お皿に盛り付けるのが楽しくなるような形をしています。サラダのイメージが膨らみますね。

韓国でオリンピックがあった時期にサンチュが売れるかもしれない。と、先見しスタートしたのが水耕栽培の「株どりサンチュ」です。

試験段階のはじめの頃は虫がいっぱいで洗って出荷したり、消費者の方からのクレームもありましたが、『何も足さない、何も引かない』がモットーの楢崎さんご夫婦。試行錯誤の末、現在は自然の力を100%活用した完全循環型栽培を確立し、安定的においしい野菜を供給できるようになりました。

水槽の中にはプラント設置時からハヤ(川魚)が泳ぎ、メダカも育てています。野菜の環境バランスを保つために常在菌を保ち、水槽の培養液は清掃と洗浄のみで殺菌はせず微生物と太陽の光を味方にして自然農法的な水耕栽培で育てているのです。

サンチュを定番のお肉を挟んで食べると絶品でした。サンチュ栽培がきっかけとなった会社ですので、味わい深い歴史とともにサラダ本来の持つ自然でやさしい味を感じることができました。

これからも、オリジナル水耕栽培システムで安全・安心で環境にも優しく、カラダにも嬉しいお野菜を提供して下さるグッドリーフさんを消費者として支えていけたらと思います。
ホームページはこちら→グッドリーフ

佐賀県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエ・食育マイスター前田成慧でした。

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