まつのベジタブルガーデン

滋賀県「きゅうり」を極める!アグリワンダフルカンパニー【前編】

畑の社会見学

皆さま、こんにちは。滋賀県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエプロ・ベジフルビューティーアドバイザーの辻川育子です。

6月に入り、たくさんの夏野菜が店先に並び始めました。夏野菜を代表する「きゅうり」、今では一年中食卓に上がるようになりました。滋賀県には、日本でもトップクラスの農地面積できゅうりを栽培されている会社があるのです。

滋賀県野洲市にある「きたなかふぁーむ」さんは、ハウスの総面積が約28反、年間に約500トンのきゅうりを収穫・出荷されている関西最大のきゅうり専門農家です。5か所あるハウスのうちの1つにお邪魔しました。こちらのハウスで作られているのは、「リスペクト」という品種のきゅうりです。

立派なきゅうりができていました。新鮮なきゅうりはイボがとげとげですね。ハウス内は爽やかなきゅうりの香りにあふれていました。

ご案内くださった代表取締役社長の北中良幸さん。バレーボールのプロ選手を考えられたことがあったほどのスポーツマンで背が高く、苗が低く見えるくらいです。大学卒業後は種苗会社に就職され、愛知県の営農指導や販売の仕事をされていましたが、2006年に地元に戻られて新規で農業を始められました。3代目として父親の経営する会社と合併し、2015年には法人化して現在の会社を始められました。

「美味しいきゅうりを作ることはもちろんですが、販売だけが目的ではない!」という北中さんの言葉がとても印象的で、農業への熱い思いが感じられました。北中さんは、農業振興のための会社づくりと農業の企業化に日々奮闘されており、今後の日本の農業を牽引する存在です。農業をしたい人が自立するための育成にも力を注がれており、農業人口を増やしたい!という目標を持たれています。

となりのハウスは苗を定植したばかり。年間を通してほぼ1年中きゅうりを生産されています。「きたなかふぁーむ」の特徴は「分業制」。種づくりは埼玉で、苗づくりは愛媛で、それぞれ信頼できるプロの方に作ってもらい、苗からきゅうりの生産・収穫・荷造りまでを自分たちで行い、販売や流通もそれぞれの専門の方に任せています。

これにより、最高のものがそれぞれの過程で培われます。その一つひとつの結びつきを大切にしながら、「1つのグループ」のような形で繋げられています。「分業にすることで、今まで忙しくてできなかったことへ時間を有効活用できるようにもなった」といいます。

卸し先では、見た目だけでなく、味など品質のクオリティを大切に作られたきゅうりの「付加価値」がきちんと反映されているかを大切にされてます。そのため、「きたなかふぁーむ」のきゅうりが良い状態で店に並んでいるかを常に確認しています。北中さんにとって出荷されるきゅうりは大切な我が子のようなものなのです。

従業員は9名、それ以外にパートの方も20名以上働かれています。写真の青いケース1箱に100本のきゅうりが詰められます。この日もたくさんのケースが積まれていました。野洲市内の学校給食にも出されており、関西では大阪グランフロント前のマルシェ、イカリスーパー、イトーヨーカドーなどでも滋賀県産として販売されています。

きゅうりは、連作障害や病気にかかりやすい作物なので、土の中の微生物の多様性や活性値の高い土づくりが非常に大切です。木のチップや米ぬかなどを与えることで微生物が住みやすい環境づくりに取り組んでいます。また、きゅうりの栽培には加湿(水分)が必要です。もともと田んぼだった土地にハウスを建てていることやこの土地の気候がきゅうり栽培に適しているそうです。

日本の食を支える農業の発展のため、常に高いビジョンをもって頑張られている北中さん。栽培するだけでなく、卸し先のお客様との関係をしっかり築くところまできちんと視野に入れられているところは、生産者と生活者をつなぐ役目である私たち野菜ソムリエの視点とも似ていると感じました。これからも北中さんを応援しながら、滋賀の農業を一緒に盛り上げていきたいと思います。

株式会社きたなかふぁーむ
滋賀県野洲市市三宅1994

次回は美味しいきゅうりを使ったお料理レポートをご紹介しますのでお楽しみに!滋賀県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエプロ・ベジフルビューティーアドバイザーの辻川育子でした。

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