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東京都のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエプロ、江戸東京野菜コンシェルジュの増田智子です。
先月も東京の生産者さんをご紹介しましたが、今月は東京都東久留米市からです。
10月初めの日曜日。野菜ソムリエコミュニティTOKYOのメンバーと東久留米市の若手生産者さん約40人が集まり、意見交換会が行われました。発起人となったのはJAみらい東久留米地区青壮年部部長の篠宮仁さん。
篠宮さんとは数年前に日本野菜ソムリエ協会のキッズイベントでご縁をいただいたことをきっかけに、私たちの主催イベントでも何度もお世話になっています。
昨年11月の農業体験&芋煮会イベントの様子。
意見交換会の前に、久しぶりに畑を案内してもらいながら、東久留米の農業のこと、篠宮農園のことなど改めてお話しを伺いました。
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東久留米市は東京都心より約24Kmの西北部にあります。
市の中心を黒目川、落合川など豊かな清流が流れ、「落合川と南沢湧水群」は環境省の「平成の水百選」に都内で唯一選ばれました。その豊かな水をもとに生産される東久留米の野菜は味が良いと評判で、私も都内在住の友人から美味しかった!と聞くことがあります。主な生産品目は…農業産出額順で1、ほうれん草2、トマト3、小松菜4、枝豆5、日本なしと続きます。よく口にするもの、そして鮮度が大事なものが多い印象です。
篠宮さんの圃場は約1.7ha。都内でも比較的農地が残っている東久留米市でも、一戸当たり1ha未満の生産者さんが7割以上なので、篠宮さんの畑はずいぶんと広いですね。ご家族を中心に年間約20品目を生産しています。
枝豆、トウモロコシ、大根、ニンジン、トマト、ほうれん草、小松菜、キャベツ、里いも…。
私も収穫体験させてもらったことがありますが、ニンジンも「あやほまれ」や「アロマレッド」、大根は「味いちばん大根」など、その時期に適したより味のいい品種を選定して生産しているそう。日本野菜ソムリエ協会開催の品評会「野菜ソムリエサミット」でカブが表彰されたこともあります。
「ひとしの野菜」として似顔絵のついたパッケージで包み、主にJAの直売所やスーパーの産直コーナー、自宅の庭先販売などを行っています。
篠宮さんに「農業で一番苦労されていることは?」とお尋ねしたら、「やっぱり天候だね!」とのお返事でした。多品目、多品種を植え、収穫時期を少しずつずらしスケジュールを立てていますが、相手が自然なのでうまくいかないことも多いそう。近年は異常気象の影響もあり不安定で、例えば、去年の9月は長雨により種まきが遅くなり、今年の8月も雨が続いたことでナスやきゅうりに影響がありました。東京も地方もやはり安定した天候がとても大事なんですね。
奥様がちょうど最後の枝豆出荷作業をされていたのでお話を伺うことができました。
こちらは枝豆を枝から外す専用の機械。こういったものも意外に費用が掛かります。でも、この機械がないと手間がかかり、本当に大変なので欠かせません。枝豆とほうれん草の選別・出荷作業が特に手間がかかるそうです。土や水にこだわり、畝をととのえ、種をまき、草取りをして、野菜を育てる。それも大変な作業ですが、収穫や収穫後の出荷作業も人の手を使って丁寧に行っています。
また、篠宮農園では子どもたち、大人、たくさんの方々に広く東京の農業について知ってもらいたい!という想いから年間10回ほどの農業体験イベントを開催しています。私たちもいつもお世話になっていますが、やはり採れたて野菜、自分で収穫した野菜のおいしさは格別。一度イベントに参加された方はみんな篠宮農園の野菜のファンになってしまいます。さらに、農園の一部を貸農園として貸し出しもします。
東久留米市でも庭先販売、JAの直売所、市内スーパーの地場産コーナーなどで直売が行われており、より身近に地元農産物を手にすることができます。そして、市民も参加できる市民農園、体験型農園や農業イベントなどにも力を入れているようです。
都市農業については少しずつ理解されてきていますが、生産者数も耕地面積も減少しつつあるので、もっともっと!知ってもらいたい、食べてもらいたい。さらには関わってもらいたい。その想いはどこも同じなんですね。
午後からは20代30代を中心とした若手生産者さんと野菜ソムリエとの意見交換会が行われました。生産者は狭い地域の中での交流が多いので、野菜ソムリエの皆さんとつながりができたことをきっかけに、東久留米や東京の農業を盛り立てていきたい。そのために意見をうかがえたら。と発案、企画されたんだそう。「東京の農業の大きな一歩に」と篠宮仁さんがあいさつされ、6人の生産者さんのお話、野菜ソムリエコミュニティTOKYOからも活動紹介と続きます。
特に私が興味深かったのは、江戸東京野菜も作られている生産者さんのお話です。青茎三河島菜の実物を持って来てくださいました。
私も東京野菜コンシェルジュとして勉強するなかで、固定種である江戸東京野菜は栽培が大変難しいと聞いていました。馬込半白きゅうりは日持ちが悪く、流通には向かない。東久留米市の伝統野菜「柳久保小麦」は風によって倒れやすく、収量も少ない。はじめは様々な苦労をされたけれども、築地や料理店などお取引先との信頼関係もでき、定期的な出荷ができるようになってきたということです。実際栽培されている方の貴重なお話を聞くことができました。
ほかの生産者さんも東久留米市の農業の現状や、ご自身の活動など発表され、『東京・東久留米の野菜・果物をたくさんの方に知ってもらいたい、食べてもらいたい』というお気持ちでした。そのために後半は野菜ソムリエと生産者さんが混ざって座るテーブルごとにグループワークです。
東久留米産の野菜果物を使った試食も出されました。(3時間前からコミュニティメンバーの皆さんと一緒に準備させていただきました。私は主にフルーツのカットを担当しました。)
グループワークでは、今後、東久留米市の生産者さんのために野菜ソムリエがお役に立てることはないだろうか。そのヒントになるようなことがないかなど話合いました。多様な職業人の集まりであるコミュニティメンバーからはいろいろな意見が集まります。
・広く知ってもらうためにSNSなどでの情報発信
・地場野菜の料理教室を開催する案や市内のレストランで東久留米フェアの開催
・都心のマルシェに出店
様々な意見が出ました。すぐにできそうなこと、まだまだ話合わなければ進まないこともたくさんありました。
まずは大きな一歩を踏み出したこの活動。東久留米市の農業、さらには東京の農業を元気にするため、野菜ソムリエコミュニティTOKYOのメンバーとして、野菜ソムリエプロ、一人の生活者としても応援して盛りあげていきたいと思います。チーム東久留米。頑張ります!
以上東京都のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエプロ、江戸東京野菜コンシェルジュの増田智子でした。
*参照*東久留米市ホームページ
写真提供*篠宮仁さん・増田純代さん・松尾ゆり子さん