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青森県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ、ベジフルビューティーアドバイザーの欠畑(かけはた)睦子です。
青森の果物といえばりんごだけではありません。「津軽の冬ぶどう」と呼ばれ、甘さと貯蔵性に優れた「スチューベン」を紹介します。
県内の主な産地は鶴田町、南部町、平川市ですが、その中でもとりわけ栽培が盛んなのが、岩木山麓から続く津軽平野のほぼ中央にある鶴田町。町の中央には岩木川が流れ、水稲とりんご栽培が盛んな人口1万4千人程の町です。古くは縄文文化が栄え、弘前藩三代藩主・津軽信義の時代に開拓されました。富士見湖の両岸を結ぶ樹齢150年以上の青森ヒバ700本を使い、日本古来の建築技術を駆使して造られた「鶴の舞橋」は、季節ごとに表情を変える風光明媚な観光地として知られています。
減反政策から始まったぶどうの作付は、鶴田町の豊かな水源と気候にあります。緯度が同じニューヨーク生まれのぶどう「キャンベル」が育つ環境と似ています。今では栽培されている品種別割合でスチューベンが69%を占め、作付面積・生産量ともに日本一(青森の果樹information参照)。田んぼの中に垣根仕立てのぶどう畑が点在しており、とても不思議な光景です。
スチューベンは糖度20度前後で、その濃厚な甘さと貯蔵性の高さが魅力。収穫は10月初旬から中旬ですが、青森県ではりんご栽培技術を活かして長期保存が可能な貯蔵法があるため、クリスマスやお正月だけでなく2月末まで食べられるのです。そのことを知ったのは今年の2月でした。
選挙権が18歳に引き下げられたことや低投票率脱却対策のため、青森県選挙管理委員会とあおもり野菜ソムリエの会が「フルーツ選抜総選挙」という学生対象の模擬選挙講師のサポートに参加した時でした。県産の果物を学び、グループごとにフルーツ党として発表(演説)後、実際の選挙と同様に投票するというものです。
そんなスチューベンに興味を持ったことから、津軽ぶどう協会会長の成田義弘さんの圃場を訪ねました。
畑に向かう途中から聞こえてくるのは防鳥のための爆音。鳥追いカイトや防鳥網が張られているところもあり、チーチーと鳴く防鳥音声がひっきりなしに響きます。
成田さんご夫妻は昭和51年からぶどうへの作付け転換を始め、現在120アールの畑でスチューベン、キャンベル、ナイアガラを育て、シャインマスカットにも取り組んでいます。スチューベンの仕立て方を見ると、1房約350グラムで粒の大きなぶどうを作るため、剪定は1本の木から4本の蔓だけにしぼり、結束して垣根仕立てにしています。作業の軽減化や降雪対策にもなるのです。
ホルモン処理はせず種を残し、津軽の寒冷な気候を生かした自然のままの無袋栽培を基本としています。成田さんの奥さまは昔ながらの手甲(てっこう)をビロードで手作りし「これが一番使いやすいのさ~」と一つ一つ丁寧に収穫していました。
果皮が紫黒色でやや小さめの粒のスチューベン。主成分の糖質には疲労回復があり、ポリフェノールの一種アントシアニンも豊富で、活性酸素を取り除き、老化予防効果や視力機能の回復、肝機能向上効果などが期待されます。グレープシードオイルもあるよう、種も栄養成分が豊富なのでできれば取り除くことなくまるごといただきましょう。私は子供のころから中身を噛まずに飲み込み、後から皮の果汁を吸って食べています。
スチューベンを使った加工品も豊富です。道の駅「あるじゃ」(あるよという意味の津軽弁)では、青森県が誇るサンマモルワイナリーのスチューベンワインをはじめ、ジュースやサイダー、ゼリーや菓子がたくさんありました。
オリジナルのスチューベン大福は、シャンパンにも合いそうなスッキリした味わいでおすすめです。
現在は収穫が終わり、ぶどう棚の紅葉がとても綺麗です。
クリスマスやお正月を過ぎて、2月まで出回る津軽の冬ぶどう「スチューベン」をぜひ一度お楽しみください。
青森県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ、ベジフルビューティーアドバイザーの欠畑睦子でした。