まつのベジタブルガーデン

山梨県桃のプロが育てる「レモン」

まつのベジフルサポーターレポート

山梨県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエプロ・フードツーリズムマイスターの村上由実です。

実りの秋。現在は山梨県産の柿やりんご、キウイなどが果物売り場を彩っていますが、今回はここ数年口コミでじわじわ人気を集めている果物をご紹介します。

訪問したのは、山梨県山梨市にある矢崎桃店の柑橘ハウス。代表の矢崎敦仁さんには、果樹王国次世代のエース候補「せとか」の際取材させていただき、その際に約束していた再訪を実現できました。「矢崎桃店」という名ですから、主力品目はもちろん桃ですが、この時期から冬にかけてはレモンをはじめとした柑橘類がメインになります。
レモンの木
到着したばかりの真新しい薪ストーブを手に、満面の笑みの矢崎さん。
薪ストーブと矢崎さん
温暖な気候での栽培が一般的な柑橘類は、昼夜の寒暖差がある山梨県で育てるのはとても大変。いくらハウスとはいえ、寒い時期は夜通し暖房用ボイラーを動かさなければならず、光熱費がかさんでしまいます。
暖房用ボイラー
しかし、こちらのビニールハウス用の薪ストーブは、丸太を入れるだけで長時間燃焼ができ、電気を使わずに済むので、節約につながります。
ハウス用薪ストーブ
ここで丸太の調達について疑問が!薪を購入するとしたら、そこにも費用がかさむのではないか、と思ったのです。しかしその疑問はすぐに解決しました。主力品目の桃の木の寿命は約15年。寿命を迎えた桃の木は切って処分しなくてはならないため、その木をこの薪ストーブの燃料に使うのです。長年お世話になった桃の木を有効利用することができ、さらに節約もできるなんてすばらしいアイディアですね。

さて、矢崎さんのハウスでは、前回ご紹介したせとかの他に、レモンやライム、ブラッドオレンジなどを栽培していますが、その中でも特に愛情を注いでいるのがレモン。品種は2種類で、市場に多く流通している「アレンユーレカ」。
アレンユーレカ
そして、レモンとオレンジを交配してできたといわれる「メイヤー」です。
メイヤー
四季咲き性のレモンは年間を通じて開花します。この日も花が咲いていました。といっても、その多くは4月頃花が咲き、約半年後から収穫となります。レモンは自家結実性があるので、授粉作業は不要。つまり桃の作業が忙しい時期でも、レモンは手がかからない良い子なのです。

レモンをはじめとした柑橘を育てる上でどうしても避けられないのがハモグリガの被害。成虫が若葉に産卵した後、幼虫が表面に潜り込んで葉を食べてしまいます。こちらが餌食となってしまった葉。
ハモグリバエの餌食
多発すると生育不良になり、品質が悪くなったり、収量が減ってしまいます。収穫時期以外は見つけたら消毒を行うそうですが、実がなっている時期は葉ごとカットします。大変な作業ですが、皮まで食べられるレモンを作るため、手間は惜しみません。

こちらはレモンの蕾。
レモンの蕾
そして開花。香りも少し感じます。
レモンの花
花が咲いた後は小さな実が付きます。緑の部分がレモンになります。
レモンの実
こちらがレモンの赤ちゃん。
レモンの赤ちゃん
腐って黒くなっている部分は丁寧に手で取ってあげます。
レモンの赤ちゃん作業後
こちらはだいぶ大きくなったレモン。グリーンレモンとしてはこのまま収穫しても良さそうですね。
グリーンレモン
立派な黄色いレモンに育ちました。
イエローレモン
レモンやライムなどの柑橘類は、皮表面に天然のワックスがついているのをご存知ですか。これはレモン自身が自ら乾燥しないように出しているもの。収穫後、布で丁寧に磨くことでレモンの表面はツヤツヤになります。こちらは正真正銘、磨けば光る天然ワックスの山梨県産レモンです。
磨けば光る県産レモン
安心して皮まで食べられますよ。
瑞々しいレモン
そして、この日はライムも見せていただきました。
ライムの木
こちらはライムの赤ちゃん。この時点ではレモンと見分けがつきません。
ライムの赤ちゃん
成長したライム。レモンより球体に近いですね。
山梨県産ライム
収穫直後のライムはとても香りが強いので、切っただけで爽やかな香りが広がります。
穫れたてライム
矢崎さんのレモンやライムの収穫時期は3月頃まで。その間は山梨県内の一部スーパーや甲州市で月に1度(1月を除く)開催される「かつぬま朝市」で入手することができますが、「スーパーなど向けに大量出荷するより、朝市で販売してできるだけたくさんの人に味わってもらいたい」と話していました。丹精込めて育てた果実の嫁ぐ先は、できる限り見届けたいという親心でしょうか。

ここ数年口コミはもちろん、地元テレビ局で取り上げられたこともあって、入手困難な存在となっている矢崎さんの柑橘。フルーツ王国山梨ですが、県産柑橘はまだまだ希少な存在なのです。
山梨県産レモン
山梨県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエプロ・フードツーリズムマイスターの村上由実でした。

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