- 03-5753-3728 受付時間 10:00~17:00
佐賀県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ、食育マイスターの前田成慧です。
今話題の「ライブコマース」という手法をご存知でしょうか。これはライブ動画配信を使ったEC(エレクトロニックコマース/インターネットを通じて行われる売買)のことで、視聴者は動画を閲覧しながら質問やコメントをして商品を購入できるのが最大のメリット。 消費者が「ほしい!」と思った瞬間のニーズをうまく購入につなげられます。
今回、そのライブコマースを取り入れて注目度が高まっている「スプラウトにんにく『鉄子』」を販売する佐賀県武雄市のミヤハラ農園を訪問しました。生産者の宮原龍磨さんは2015年からスプラウトにんにく「鉄子」の生産に取り組んでいます。
(写真提供:宮原龍磨さん)
サラリーマンをしていた宮原さんが、東京の飲食店でこのスプラウトにんにくに出会ったのが栽培するきっかけです。スプラウトにんにくは、別名「発芽にんにく」と呼ばれ、一般的なにんにくから芽の出たにんにくの赤ちゃんと考えて良いですね。野菜は芽の成長に必要な栄養を多く蓄えていて、発芽することで栄養価がアップします。鉄分が多くて女性でもニオイを気にせず食べられることから、女性のキャラクターをイメージして名付けました。
発芽にんにくは、一般的なにんにく1粒(りん片)に比べて、鉄分は約9倍でカルシウムも8倍 ※岩手医科大学サイクロトロンセンター・七訂日本標準食品成分表(文部科学省)参照。成熟した野菜に比べて栄養が凝縮されているだけでなく、「マイルドな味わいでおいしい!」「ニオイが残りにくい!」「芽も根も食べられて、それぞれの食感の違いが面白い!」と、食べた方の反応は上々。
それでは、早速生産現場へ。にんにくの香りがするかと思いきや、あまり匂いません。
まずは丁寧に皮を剥いたにんにくを1つのトレイに128個入れて行きます。
にんにくの赤ちゃんはとても小さく可愛い姿。これが数日経つと‥‥
にゅ!っと、芽と根が生えてきます。だいたい5~6日程度で収穫となります。
芽が約6~10センチほどになったら収穫です。
すっ!と引き抜き、収穫は完了。広さ10坪ほどの建物の中、3m×5mほどの空間でトレイを4段に重ね、室温を保ち、LED照明を補助光源として生産しています。
「水耕栽培のため、きれいな地下水を使用しているのがこだわりです」と宮原さん。
武雄市山内町にある黒髪山(くろかみやま)、まるで水墨画のようなその山の麓から届くミネラル豊富な地下水を使用しています。
写真は、出荷を待つスプラウトにんにく「鉄子」たち。
「スーパーなどでは知名度がなく継続販売は難しい状況でした。農業生産者は消費者と会って話す機会が少なく、個人同士で売買できるアプリを使い、消費者と直接話すことでモチベーションを上げています。ライブコマースでは1回の動画配信で1万本売れたことも。スプラウトにんにく鉄子の良さや美味しさを消費者に知ってもらうためにも生中継は欠かせません。」と語ります。生産現場や実際に料理をしている動画を撮り、臨場感あふれる内容を消費者に積極的に配信し、販売につなげています。
私もスプラウトにんにく「鉄子」を使い、トマト鍋とアヒージョを作ってみました。根と芽、肥大した根の部分と、それぞれに食感が異なり、にんにくの独特な味・香りをマイルドに感じました。
食べた直後の口の中は刺激の強いにんにくの香りはあまり残らず、たくさん食べられるのがスプラウトにんにく「鉄子」の特徴だと感じます。
宮原さんは天ぷらが一番のおすすめとのこと。ほくほくとした食感とサクサクとした根と芽が美味しい一品です。
電子レンジで加熱したにんにくを豚肉で巻いて塩コショウでシンプルに焼いたり、アヒージョやペペロンチーノ、鍋も美味しいそうです。
【食育メモ】にんにくには芳香の素となるアリインが含まれています。細胞が壊れると酵素アリイナーゼと反応してアリシンという香りの強い硫黄化合物に変化します。カットせずにゆっくり加熱することでも香りが抑えられるそう。
スプラウトにんにくは食べる時にまるごと口に入れるのでにんにくの細胞が壊れず香りの素アリインがアリシンに変化しにくいです。調理の仕方や食べ方によってはにんにくの強い香りが抑えられ、臭いの気になる女性でも食べやすい のがスプラウトにんにくです。
ミヤハラ農園では年間通して安定的に生産しているので、いつでもインターネットで購入でき、自宅で簡単に美味しくスプラウトにんにくを食べることができるのが嬉しいですね。今後、レストランや居酒屋でもこのスプラウトにんにく「鉄子」を使いたい!という方が続々と現れるでしょう。
今までの一方通行のテレビショッピングとは違い次世代のECの形【ライブコマース】。個人で売買するためにリアルタイム映像を使った新しい販売促進方法ですが、これからますます発展していくことでしょう。ライブコマースで青果物を販売するのが当たり前の時代がすぐそこまで来ているかもしれませんね。
佐賀県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ、食育マイスターの前田成慧でした。