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山梨県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエプロ・フードツーリズムマイスターの村上由実です。
4月上旬、山梨県南アルプス市の「果実園オガサハラ」の小笠原聡さん・実英さんご夫妻を訪ねました。元々農家に生まれた聡さん。いつか家業を継ぐことを視野に入れながらも、一旦は就職で山梨を離れたそう。その後2010年に3代目として故郷に戻り、現在は奥様の実英さんや娘さんたちと共に様々なフルーツを育てています。今回はお2人が育てているフルーツの今を、花や作業の様子と一緒にご紹介します。
まず最初に案内してくださった圃場で真っ先に視界に入ってきたのはこちらの白い花。小さな花が丸くまとまって咲いている姿がとても可愛いですね!これ、何の花かわかりますか?
さくらんぼの花です。小笠原さんご夫婦はさくらんぼの授粉作業の真っ最中でした。
こちらで育てているさくらんぼは「高砂」「佐藤錦」「紅秀峰」「香夏錦」「ジャンボ錦」の5品種。さくらんぼは自家不和合性という性質を持ちますので、別品種の花粉と交配することが必要です。こちらが専用の毛ばたき。昔はミズドリの羽で作られていましたが、現在はダチョウのものを使っています。
毛ばたきを使って授粉樹の花をなでてみると…
うっすら黄色くなっているのが分かりますか。これが花粉です。これを別の品種の花のめしべに付けます。
ただし、1度の交配では結実しないことがあり、より安定的に結実させるためには複数回行う必要があります。私も作業のお手伝いをしたことがありますが、上を向いて長時間行う作業はとてもつらいものでした。
また、さくらんぼの花は品種によって開花時期が微妙に異なります。天候や気温の変化によって、花のタイミングが大幅にずれてしまうと、最初に咲いた花に別の品種の花粉が付けられないことがあるそう。さくらんぼは授粉してから約50日で収穫を迎えます。美味しいさくらんぼをたくさん作るため、お二人のこの作業はまだまだ続きます。
続いて、桃の圃場に移動しました。実は取材日の翌日は今年で16回目を迎えた「南アルプス桃源郷マラソン大会」。今年も全国から大勢のランナーがエントリーし、この花を愛でながらマラソンを楽しみます。まさに「桃源郷」という言葉がピッタリの風景です。
こちらで育てている桃は「夢しずく」「夢みずき」「日川白鳳」「みさか白鳳」「あかつき」「まどか」「なつっこ」の7品種。全て自家受粉ができる品種なので、授粉作業は行いません。
次にすももの圃場に来ました。見頃は過ぎてしまっていますが、こちらは以前「いぶし銀の輝き?重さ世界一のスモモ!「貴陽」」でご紹介しました「貴陽」の白い花。
授粉樹として育てられている別品種「ハリウッド」の花粉を使った授粉作業は既に終了しています。今年も美味しい貴陽が育つよう、祈るばかりです。
続いて移動したのはキウイフルーツの圃場。キウイフルーツはこれまで紹介した3品目とは異なり、雌花と雄花が別。こちらは雌花の芽です。
そしてこちらが雄花の芽。
約1か月後に白い花を咲かせます。
南アルプス市にはフルーツ生産者が多く、旬の時期には新鮮な果物が直売所にたくさん並びます。もちろん小笠原さんご夫妻が手塩にかけたさくらんぼやすもも、桃も…秋には柿も収穫できます。今から楽しみで仕方ありません。
また、4月16日からは山梨市や笛吹市でハウス栽培のぶどう「デラウェア」や桃「はなよめ」の出荷が始まりました。初日の出荷量は「デラウェア」が約800キロ、「はなよめ」は約15キロとのこと。フルーツ王国山梨、本格始動です。
山梨県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエプロ・フードツーリズムマイスターの村上由実でした。