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沖縄県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエプロの齋藤珠美です。
今回は沖縄本島中部、勝連半島の南東4㎞の地点に浮かぶ「津堅島(つけんじま)」で生産されている「津堅島ニンジン」をご紹介します。
甘くて柔らかく、色が鮮やかで濃い「津堅島ニンジン」。島内にたくさんのニンジン畑があることから、津堅島は「キャロットアイランド」とも呼ばれており、島の面積の80%は畑で、そのうちの60%でニンジンの栽培が行われています。
島でのニンジン農家は120名はいるものの実際に栽培しているのは50名程。安定している漁業に従事する若者も多く、ニンジン農家は高齢化が進み年々減少傾向にあるそうです。
島の標高は39m、川や山もなく平坦なので水不足が深刻な問題です。この日も「そろそろ雨が降ってほしいな」と話すのは、ニンジンの生産・加工販売をしている、農業生産法人合同会社萌芽の赤嶺栄福さん(写真左)。お隣(写真右)は津堅島ニンジン部会の会長の大石清光さん(写真右)です。
水はほとんど雨に頼るしかありません。でも念願の新しいため池が近い将来完成する予定で、「畑に潤沢な水が供給されれば、ニンジンの収量もも安定する。そしたら必ず若者も農業に戻ってくる」と語る大石さんの力強い言葉に、津堅島ニンジンの明るい未来を感じました。
「安心して食べてほしい」と、津堅島で栽培されるニンジンには農薬は使用していません。除草剤も使わないため、雑草は手で抜き、収穫時も傷が付かないよう手で掘り起こします。
葉と根を切り落とす作業もひとつひとつ丁寧に。
津堅島ニンジンは、根菜類を育てるのに適した水はけの良い赤土で育ちます。周囲を海で囲まれた小さな島に、ミネラルをたっぷり含んだ潮風が絶えず畑に降り注ぐことで、土が豊かになり、ベータカロテンやミネラルなどを含む栄養価の高いニンジンが収穫できます(参照:日本分析センター数値・「津堅島ニンジンの品質と土壌栄養成分との関係)
島で収穫されたニンジンはフェリーで沖縄本島に運ばれ、県内のファーマーズマーケットや県外にも出荷されます。
島の港で販売されていた津堅島ニンジン、こんなに大きな袋にどっさり入っています!
ところで、津堅島でニンジン栽培が始まったのは戦後、米軍向けに様々な野菜を栽培する中にニンジンも含まれており、その時初めて栽培されたとのこと。
1975~1979年に大規模な土地改良事業が行われ、道路や灌漑施設が整備され、農業の基盤が作られました。そして、1979年に国のニンジン産地の指定を受け、島の基幹産業にまで発展しました。
津堅島までは、うるま市勝連半島平敷屋(へしきや)漁港からフェリーで30分ほど。
津堅島は周囲7km、面積1.88平方キロメートル、人口約500人の小さな島。
平敷屋漁港には「キャロット愛ランド津堅島」の壁画があり、ニンジン栽培が島の大切な産業であることが伝わってきます。
島には、トゥマイ浜や津堅ビーチがあり、海水浴やマリンレジャーも楽しめます。のどかな風景とゆったりとした島時間を体感できますよ。後編は津堅島ニンジンを使った料理とスイーツをご紹介します。
沖縄県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエプロ齋藤珠美でした。