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長野県まつのベジフルサポーター、野菜ソムリエプロの戸谷澄子です。
まだ日が昇る前の八ヶ岳山麓。空気も風も冷たく凛とし、鳥のさえずりだけが響き渡る清々しい高原の朝です。
日本のほぼ中央に位置する長野県諏訪郡原村は、標高1000メートルを超える高原野菜の産地です。今回私は、原村で代々農業を営む美里園の伊藤誠さんの農園にお邪魔しました。
伊藤さんは「食べて美味しく、健康に良い野菜作り」をモットーに、日々美味しい野菜やお米を栽培されています。特に肥料にはこだわりを持ち、米ぬか、もみ殻、九州から取りよせた菌を使い、微生物を活用した農法で、安心・安全・美味しい野菜を育てているそうです。「伊藤さんが作るお野菜は本当においしい!」「野菜苦手だけど、伊藤さんの野菜はおいしく食べられる!」そんなファンもいるそうです。
ずらっと並ぶビニールハウス。中を覗いてみると、濃緑の大きな葉っぱがぎっしり。何の畑かわかりますか?
ここは、ブロッコリー畑。青々と立派に茂る葉をかき分けると、
花蕾がぎっしりと硬く引き締まり、みずみずしいブロッコリーが顔をのぞかせました。美里園のハウスでは、5月下旬からブロッコリーの収穫が始まりました。
早朝4時半から6人のスタッフさんが収穫をしており、収穫の様子を見せていただきました。
茎の部分を長く伸ばして根元からザクッと包丁を入れています。ブロッコリーの花蕾が直径10㎝~12㎝くらいに成長したものを見計らっての収穫でした。「一昨日、お水いっぱいあげたから一気におっきくなったなぁ。」と伊藤さん。ブロッコリーは2日もすると、グッとひとまわりも大きく成長するそうで、今日の収穫は忙しそうでした。
根元から切ったら、大きな葉を切り落としていきます。「ブロッコリーは本当は捨てる部分がないんだ。日本ではあまりなじみがないけど、海外ではこの葉もスムージーなんかにして、余すことなく食すんだよ」と教えてくれました。特有の香りは残りそうですが、とても体によさそうですね。ハウス内のブロッコリーは農薬を使用せず栽培し、切り落とした大きな葉はそのまま土に返しています。
このように鮮度保持のため葉と茎を残しコンテナに入れていきます。周りの茎が花蕾がつぶれたり欠けたりしないように守ってくれるんだそうです。
採りたてのブロッコリー。ずっしりとして瑞々しいですね。
コンテナがいっぱいになると、すぐ近くの作業場へとピストン輸送していました。ひとつのコンテナには約15~16個のブロッコリーが入っており、1日に約200コンテナ収穫するそうで、それはそれはたくさんでした。そして採りたてを即出荷します。
作業場では花蕾の大きさを選別し、茎の長さを揃えていきます。
切りそろえたら発砲スチロールに収め、氷を詰めて、主に名古屋・大阪方面、その他全国へも出荷されていきます。早ければその日のうちに店頭に並ぶそうです。
作業場には大型の冷蔵庫も完備されていました。高原の早朝の収穫、大型冷蔵庫完備の集荷作業、そして冷蔵輸送されていきます。完全コールドチェーンですね。
出荷作業が終わると、今度は露地栽培のブロッコリーを植えていました。
その数、1日になんと5000株以上。ブロッコリーは植えてから約70日で収穫になります。この作業をほぼ毎日繰り返し、11月までブロッコリーを育て収穫し続けるそうです。広大な圃場が広がります。ずっと向こうの端はよく見えないくらいでした。「これでもまだ小さい方ですよ」とスタッフの方。あまりの規模に驚きました。
高原のさわやかな風に吹かれ、お日様の光をたっぷりと浴びで、2か月後にはここにブロッコリーができているんですね。栽培で気にかかることをお聞きしたところ、露地栽培のブロッコリーは、梅雨時期、長雨が続いてしまうと若干品質が劣るそうです。本来アブラナ科の植物が持つワックスが、長雨によって落とされてしまうからだそうです。そろそろ梅雨入り…。天の神様、どうかどうか適度なお恵みを…。
ブロッコリーを収穫し終えたハウスでは、連作を避け、次にホウレンソウを育てるそうです。主に加工用として出荷しているそうです。
この他、美里園さんでは加工用のキャベツ、地元諏訪大社の献上米にもなっているコシヒカリの栽培もされているそうです。
長野県の「信州の環境にやさしい農産物」に認定されていました。美味しい野菜、食べてカラダに良い野菜作り。伊藤さんの野菜に対する熱意を感じました。
ブロッコリーは、なんといっても茹でたてをふ~ふ~しながら食べるのが一番美味しいですよね。茹でるときは、たっぷりの湯で茹でるより、少量の塩を加えて蒸し茹でするのがおススメです。茹で上がってからは水にさらさないでくださいね。さらしてしまうと花蕾の中に水が入り、水っぽくなってしまいます。
芯の部分も栄養が豊富ですから、薄く切って茹でて食べたり、きんぴらにしたり、ピクルスにしたりと、余すことなく食べたいですね。大きく立派な葉っぱも、美味しくお料理して食べてみたいと思います。
長野県まつのベジフルサポーター 野菜ソムリエプロの戸谷澄子でした。