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山梨県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエプロ・フードツーリズムマイスターの村上由実です。
山梨の夏。直売所やスーパーには県産の桃やスモモなどのフルーツがたくさん並び、生活者を虜にしていますが、今回私がご紹介するのは温室で大切に育てられているメロン。このような双子のメロンにも出会えました!
今回私が訪問したのは、南アルプス市にある「和ふうる農園」。こちらは「日本」というブランドを世界に発信するため、様々な事業に取り組んでいる和ふうる株式会社の農業部門として、温室メロンの栽培に取り組んでいます。ハウスに入るとまず目に入ったのは、辺り一面に吊るされた新聞紙!
その1つに近づき下から覗いてみると、そこにはなんとメロンが!
こちらのハウスでは、まるでぶどうの棚栽培のような形状で、メロンが頭上からぶら下がるような栽培方法に取り組んでいます。こちらは代表取締役の相川勝正さん。
メロンというと、果実に甘みを集中させるため、1つの木に数個、特に高級メロンの場合は「一木一果(いちぼくいっか)」とするところも多いですが、こちらのハウスにはとにかくたくさんのメロンがぶら下がっています。
ずらりと並ぶ木の箱は「水耕栽培槽」。
この水槽1つからメロンの木が1本育っていて…
中をあけるとメロン栽培に必要な液肥がたっぷり。
現在こちらのハウスには28台の水耕栽培槽があり、1本の木からは30~40果ほどのメロンが収穫できるそう。私が訪問した日は播種の時期を1か月ずらした2期目・3期目のメロンがぶら下がっていました。
メロンは播種から収穫までが約100日。播種から約10日間は別のハウスで苗作りを行い、水耕栽培槽に植えます。交配はブラシなどを使わず、全て手作業です。
交配した日はきっちり記録します。
約10日後には新聞紙をかぶせ、日焼けや傷がつくのを防ぎます。基本的に摘果はしないので、多くの実ができますが、それでも品質には自信があるのだそう。その理由は水耕栽培槽にあります。和ふうる農園では、東京都の町田商工会議所が地元の精密機械や医療機器のメーカーなどの協力企業が持つ技術を応用して生み出した独自の栽培法「町田式新農法」に基づいたまちだシルクメロンの水耕栽培技術を取り入れています。
ハウスの中央には全ての水耕栽培槽とつながった「液肥攪拌槽」があります。
水温は26~28度とし、液肥の濃度もほぼ一定になるように調整され、排水と吸水を繰り返しながら24時間循環しています。
このような設備は企業秘密なのでは?と心配でしたが、「うちは隠すことなんて何もないから」と明るく語る相川さん。純粋にメロン栽培に取り組む姿勢に引き込まれました。
こちらは収穫間近のメロン。新聞紙を取るとまるでメロンのシャンデリアのよう!(笑)
「こんなに大きいのもありますよ」と相川さん。ネットも細かくてとても綺麗です。
また、冒頭でご紹介した双子のメロンは、一般的な栽培では摘果してしまう実ですが、こちらの栽培方法なら時には珍しい実ができることもあり、他にも双子予備軍を見つけました。
その後、6月下旬にオープンした直売所へ移動しました。
こちらには、和ふうる農園のメロンが並んでいます。
栽培しているのは全て「パンナ」という糖度が高い特徴を持つ青肉メロン。今にも滴り落ちそうな果汁が確認できますね。
とはいえ、やはり摘果していない影響はあるのでは?と思いながら試食してみると…よく熟して黄色味がかった果肉はとても滑らかでフルーティーな強い香り!瑞々しい果汁が口の中に広がり、その甘みに驚きました。「非破壊糖度計で規定以上のものしか並べない」という言葉通りの味わいでした。
最先端の栽培システムにより、南アルプス市の豊富な天然水と栄養を根から取り込むことで、甘味と滑らかな舌触りを実現したメロンができるのです。
現在、こちらのメロンは直売所で販売を行っていますが、委託やECサイトでの販売も予定しています。いずれは輸出、そして行く末は、海外で栽培することも視野に入れているのだそう。山梨から全国、そして世界へ。「日本のおいしい果物を海外の皆さんにも味わっていただきたい」そんな思いから始まり、常にワールドワイドな目線でいろいろなことに取り組んでいる「和ふうる株式会社」。これからも注目していきたいと思います。
山梨県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエプロ・フードツーリズムマイスターの村上由実でした。