まつのベジタブルガーデン

福井県城下町に400年続く越前大野七間朝市と共に【後編】

まつのベジフルサポーターレポート

福井県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエプロ、だしソムリエ協会認定講師の水嶋昭代です。

前編】に引き続き、【後編】は、大野の七間朝市に出店している若き農業女子、佐藤順子さんを紹介します。

佐藤さんは大野市郊外の苗農家の家に育ち、小さな頃から苗や野菜を作る手伝いをしてきました。農業の大変さを知っているから、大学卒業後は農業ではなく別の仕事につきましたが様々な経験を経て、12年ほど前、農業へと辿りつきました。

佐藤さんは、農業を始めるにあたって、いろいろと勉強をして下調べをたくさんしました。最初は比較的短期で収穫できるラデッシュから、それから、食べてみたかったスイスチャード、ポップコーン、アーティチョークを作ってみます。思いのほかこれらの作物が上手く栽培ができたことで、本格的に農業をやっていこうと自信がつき、変わった野菜作りをしようと10年計画を立てて、実行に移していきます。最初の頃は、年間300種類ほど、なすも20種類くらい作っていたそうです。
作り続ける間に、段々と品種が絞られてきて、現在では年間約200種類の野菜を作っています。冬の農閑期には、何日もかけて栽培計画を立て、季節ごとに、どの場所に、どの作物を植えるかをノートにきちんと書いて決めます。また、自分の作る野菜は、食べ方を説明できるように、自分で料理をし、勉強もします。

変わった野菜は、食べ方を教えてもらうと買いやすく食べてみたいと思う人が多いようです。苗作りから、土づくり、肥料にもこだわる佐藤さんの野菜は、評判になり、色もきれいで美味しい事から、多くのファンがいます。

大野市郊外にある畑を見せてもらいました。広い畑は、まるで宝箱のように、たくさんの野菜が栽培されています。大野の里芋は、煮崩れしにくく、味もよいことから、とても人気があり、10月ごろに収穫します。

襞が多いダビデおくら。

花おくら(別名トロロアオイ)の花。花びらをさっと茹でて、酢の物やお浸しで食べます。

野良ばいのごぼうの花。生産者ではないと見られない野菜の花たちに出会えます。

ロッサビアンカ イタリアのなす。実が白く、締まっていて、ステーキなど焼くと美味しいです。

普段は、七間朝市で野菜を売っている佐藤さんですが、月曜日だけは、福井市のショッピングセンターの一角で野菜を売ります。インカのめざめ、きたあかり、赤玉ねぎ、葉付きにんじん、ズッキーニ、奥には、赤しそも(7月)

真っ赤なビーツとうずまきビーツ、ズッキーニ(7月)

スイカやなす、キャベツ、ピーマン(7月)

セロリ、金時草、ゴーヤ、なす、おかひじき(7月)

カラフルなパプリカ、グリーンカレーに入れる小さくて丸いタイナス、赤おくら、トロンボーンズッキーニ(8月中旬)

冬には、様々な大根やかぶら(11月)

冬には、様々な大根やかぶら(11月)

エスカレーター下の小さなスペースには、色とりどりのたくさんの野菜が並べられ、開店と同時に、佐藤さんの野菜を目当てに訪れるお客さんに飛ぶように売れていきます。


買いものに来られたお客さんに食べ方のアドバイスもしながら、てきぱきと野菜を売る彼女の姿は、清々しく、恰好いいです。常連の主婦に交じって、レストランのシェフの方の姿ももちらほら見かけます。また直接、注文を受けた野菜を福井市内のお店に届けたりもしています。皆さん、佐藤さんの目にも舌にも、心にも美味しい野菜を求めて訪れるのです。
大野は小さな町だけど、水が美味しくて、気温の寒暖差があり、野菜を育てるのに適した肥沃な土地があります。古い街並みと、その土地に育まれた人々の人情溢れる町です。そんな大野だから、佐藤さんの野菜は美味しいのです。

佐藤さんは、世界を旅していた頃よりも、大野で野菜を作って売っている今の方が世界は広がったように感じるそうです。自分が作った野菜を楽しみに買いに来てくれる、「この間の野菜、美味しかった」と喜んでくれるお客さんたちとのやり取りが楽しいし、嬉しいと言います。今度は、こんなものを作ってみようかと考えると、ワクワクするそうです。

私も、佐藤さんと野菜談義をすることが何よりも楽しみで、大野や福井まで野菜を買いに出かけます。

福井県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエプロ、だしソムリエ協会認定講師の水嶋昭代でした。

福井県の記事