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皆様こんにちは。
北海道のまつのベジフルサポーター
野菜ソムリエ
北海道フードマイスターの 八城 元代です。
北海道のほぼ中央に位置する 旭川市東鷹栖町(ひがしたかすちょう)という所で 、自らイチゴの品種改良に取り組み 、北海道の個人の農家さんでは初めて 『瑞の香(みずのか)』というイチゴの品種登録を行ったという、代々米農家さんでもある 、のなか農園さんをお訪ね致しました。
北海道の中でも積雪が多い事で知られている旭川市ですが 、今年は雪解けも早くいつもの年よりも暖かな春の陽気が続いています。 とは言っても北の大地 北海道 。急の冷たい風が吹いて来たり、気温が下がったりと、農家の皆さんはハウス内の温度管理には、常に気を配られていらっしゃいます。 適切に温度管理されていらっしゃる野中さんのハウス内には、可憐なイチゴの花たちが気持ち良さそうに咲き誇っていました。
これは大忙しと飛び交うミツバチ達の事を「とても大切なパートナーです」と、おっしゃる野中さん。 1棟のハウス内に2000匹のミツバチが、暮らしているそうです。
花粉を集める時 必ずおしべの周りを一周するんですよ、と教えて頂き、観察しているときちんと一周し、次の花へ移っていきました。 健気で愛らしいですね。
愛娘のお名前から一文字とって名づけられた『瑞の香』は、章姫というイチゴの性質を受け継ぐ、酸味が穏やかな甘いイチゴで、長めの円錐形。鮮やかな紅色をしています。
噛むとプチッとした柔らかな薄い表皮の歯ごたえの後、フワッとした柔らかな果肉がとてもフルーティーで芳醇な味わいに、思わず驚いてしまいました。 初めての味といっても過言ではありません。とっても美味しい。
野中さんがイチゴ栽培に取り組まれたのは、ご実家の農家の三代目として就農された20歳の頃だそうです。 当時は一季成り性(冬から春に向けて実をつける品種)を栽培していましたが、取り引き先から「年間を通して地元の イチゴを使いたい」と言われる様になり、四季成り性の品種(年間と通して栽培出来る品種)を栽培する事になったそうです。
本来イチゴは暑いのが苦手で、まわりを大小の山々で囲まれた盆地状の地形である東鷹栖町は、昼夜、夏冬の気温差が高く、特に夏場の温度管理での設備投資にはコストが高すぎてしまい、採算が合いません。 そんな時 「それなら暑さにも強くて、形も美しい美味しいイチゴを作れば良いのでは?」と思い立ち、6年の歳月を重ねて研究し、野中さんの理想のイチゴ『瑞の香』を誕生させたのでした。・・・凄いですよね。
研究熱心な野中さんは、地元のイチゴ作りの師匠から学びながら独自の勉強も重ね、イチゴの栽培技術を構築されていきました。 野中さんのハウスでは、高設栽培というイチゴを高い位置で栽培する方法で育成されていますが、その高さも10㎝ずつ変えて育成状況を研究した後、作業効率との兼ね合いも考え、 最適な高さに設定されているそうです。
その他、苗の状態、その時期の外気温、 ハウス内の温度、水分調整、養分や培土の調合、出荷状況等、様々な条件で花芽の数も調整できる 、という野中さんはまさにイチゴ職人さんです。 「一年中イチゴを育てているので、いつでも試したい観察が出来る」とおっしゃいますが、こうした弛まぬ努力のおかげで美味しいイチゴが生まれていることに、改めて感謝の気持ちでいっぱいになります。
探究心は果てしなく、新しい品種の開発も続けていらっしゃいます。 その苗も見せて頂きましたよ。
面白そうなイチゴが研究されていましたよ。
そんな素晴らしい技術を持った職人の住む農業の町も、やはり高齢化と後継者問題で、以前は20件程あったイチゴ農家さんも、現在は3、4件となっているそうです。 高い技術を持っていても、それを受け継ぐ人材が育たない事には継承されていけません。 野中さんはこうした問題の解決策に、地域の活性化の為にも地元農家さんの仲間8人で、飲食店も立ち上げていらっしゃいます。 若い世代の方々にもそうしたコミュニケーションの場の提供を考え、地域の農業に貢献されているのですね。
さらに今後は、販路の開拓や観光農園としても『瑞の香』の素晴らしさを広げていきたい、と意欲的でいらっしゃいました。 北の大地でチャレンジし続ける、のなか農園さんのご紹介でした。 皆様、どうぞよろしくお願い致します!
野中さん、ご協力ありがとうございました。