こちらは専務理事の中脇影則さん。「いごっそうなす」生みの親です。中脇さんは、20年前からこの農業公社で様々な品種の試験栽培を進めてきました。中脇さんが「いごっそうなす」栽培を思い立ったきっかけは、高知市内のある料理屋さんから、「もっと特徴あるナスを高知でも作れないだろうか」と言われたことだったそうです。
高知県はナスの産地ですが、はっきり言ってそれぞれのナスの味に著しい差があるわけではありません。うまいナスを作りたい!と中脇さんは種苗会社をあたり、ある種を見つけ試験栽培を始めました。そして試験栽培を経たナスを他の料理屋さんに持ち込んだところ「これは煮ても焼いても生でもいける万能ナスだ!」と太鼓判をもらい、「いごっそうなす」と命名されたそうです。
このいごっそうの名に込められているのは「お父ちゃんの晩酌のあてに出せばこれだけで喜ぶから、お母ちゃんの手間がはぶける!」という意味なのだとか。確かに、切ってさっと塩もみしただけでおいしい一品になりますね!
では「いごっそうなす」をくわしく見ていきましょう。
まず気をつけてください。「いごっそうなす」はヘタのトゲがえらい(鋭い)ですよー。そして形は普通ナスに比べて小ぶりな長卵型です。味の最大の特徴はアクが少ないということ。甘みもあり生で食べられます!薄い皮は少し硬めですが、果肉はみずみずしくも密でしっかりしています。
収穫時期は6月下旬から11月上旬頃です。秋になり気温が下がってくると、中の果肉がさらに充実して、まるで青リンゴのような食感なるんです。夏ももちろん美味しいけれど、これから秋のいごっそうなすは、他のナスとはまた違った食感が楽しめてオススメです。果肉がしっかりしているので煮崩れもしません。加熱したナスのトロっとした食感が苦手な方でも、きっと食べられるかのではないでしょうか。(このトロッとした食感が苦手なお子さんは多くて、ナスは子供が苦手な野菜の上位にランキングされていますね)
中脇さんは、5年前から地域の農家さんにも「いごっそうなす」の導入を勧めてきました。現在栽培をしている農家さんのほとんどは、以前は小ナスを作っていたそうです。小ナスといえばその小さくてかわいい姿
に価値がありますが、夏季はグングン太ってしまうため、朝晩の収穫作業が必須です。また花が咲いた後は、すぐにその花を除かないと、花落ち部分に跡がついてしまいます。とても世話がかかるナスなのです。
それに比べて「いごっそうなす」は管理が楽で、そして何より味がおいしい!今では6件の農家さんが栽培に取り組んでいます。
それでは「いごっそうなす」のおいしい食べ方をご紹介します。まずは生食でみずみずしさを味わって下さい。
<いごっそうなすの生ハム乗せ>
スイカやイチジクなどのフルーツを生ハムでクルッと巻き、皮をむいたいごっそうなすに載せます。オリーブオイルと粗塩、ブラックペッパーを振れば、あっという間にオシャレな前菜の出来上がり!
次は蒸して食感を楽しんでください。
<蒸しなすと鶏のゴマ風味>
なすと鶏むね肉をラップでふんわり包みレンジで加熱します。粗熱が取れたら手でサクッと割き、醤油、味噌、砂糖、酢、すりごまをお好みで混ぜてタレを作り、和えます。おろし生姜を加えるのが高知流。風味がさらに引き立ちます。
「いごっそうなす」はアクが少なく甘みもあるでデザートになるんです。これなら、小さいお子さんと一緒に簡単に作れますね。
<シュワっとフルーツポンチ>
皮をむいたいごっそうなす、好きなフルーツ缶(もちろん生の物でもOK)を適当な大きさに切り、缶詰のシロップを加えて混ぜる。味がなじんだら器に盛り、好きな炭酸ジュースを注ぐだけ!
現在「いごっそうなす」の県外販売は、高松市場がメインとなっていますが、東京市場への注文販売にも対応しています。農業公社の武内実さんは、「このナスの良さをどのように売り込んでいくのか。そして農家さんに儲けてもらうにはどうしたらいいのか。これからはターゲットとマッチングを考えて営業をしていき
たい!」と話してくれました。
私が「いごっそうなす」に出会ったのは三年前。初めて生で食べた時はその美味しさに驚きました!「いごっそう」の名前とはまるで正反対の印象。上品で甘くてジューシーなナス。この美味しさをもっとたくさんの方に味わって頂けるよう、私はこれからも「いごっそうなす」の応援をしていきたいと思います。
公益財団法人
<四万十市西土佐農業公社>
高知県四万十市西土佐江川崎3385
Tel/0880-52-2666
Fax/0880-52-2667
高知県まつののベジフルサポーター
シニア野菜ソムリエ
食育マイスターの
斉藤香織でした