9つのビニールハウスでアスパラガスを育て、出荷は2月から10月頃まで続きます。根株を定植してから収穫に至るまでに3年もの年月を要し、大変手間のかかる作物なのです。けれど、ひとたび栽培に成功すると10年から15年程度は収穫でき、その苦労も大いに報われるという夢のある作物でもあります。
露地栽培で育てると3年目ぐらいまでは収穫できますが、それ以上になると病気にやられてしまうのが常で、雨や菌にも弱いという一面もあります。そのため、ビニールハウスのなかで快適に守られ育てられるように。ハウスには霧状にした水を噴射しミストサウナのなかで育つというイメージがぴったりです(笑)
ここで、アスパラガスの歴史についてお話ししましょう。アスパラガスが日本へやって来たのは江戸時代。当初は観賞用として楽しんでいたのだそう。ヨーロッパでは紀元前から栽培されていた歴史があり、古くから人々の暮らしに溶け込んでいた野菜だったのですね。日本で食用として、本格的な栽培が始まったのは、大正時代のお話です。
さて、大西さんのアスパラ畑ではそろそろ収穫が始まっている様子。三輪車のような乗り物で、枝切りばさみ状の道具を使って、次々に収穫していく大西さん。どうしても中腰での作業になるので腰痛対策で、独自の収穫方法を編み出されたのだそうです。
別のビニールハウスでは、栽培の手法そのものを変えていて、利用される道具も少し違います。さきほどのハウスでは進行方向に向かってまっすぐに進む車、こちらではバックしながら収穫する方法が取り入れられています。研究熱心な大西さんは、常に新しい手法に取り組み、日々前進を続けていらっしゃいます。
いろいろとお話を聞くなかで、意外な事実も飛び出しました!なんと、アスパラガスには、性別があるのをご存知でしたか?外見的な特長がはっきりと違っていて、すぐに見分けることができるんですよ。
穂先がバラバラと膨らんでいるように見えるのがオス、穂先がしっかりと閉じているように見えるのがメス、なのだそう。意外でした!上の写真なら、左からメス、オス、メス、メス、オス???
大西農園さんのアスパラガスは近隣の契約スーパーへ出荷されるほか、稲美町に昨年11月にオープンしたJA兵庫南の農産物直売所にじいろふぁ〜みんでも購入できます。
にじいろふぁ〜みんHP
紫アスパラは加熱すると色が抜けてグリーンになってしまうので、お客様からの需要が少なく、来期は栽培しないかもしれない、とのこと。なんとか来年も継続していただければいいなと願う野菜ソムリエなのでした。
採れたて新鮮なアスパラガスは、軽く塩ゆでしただけでも甘みがぐんと際立ちます。鮮度劣化も早いので、茹でてしまってから保存するのもおいしく食べるコツのひとつです。根元は少し固く感じるので、皮を5センチ程度ピーラーでむくと、食感が断然違ってきます。とろ〜りポーチドエッグを添えてパルメザンチーズもぱらり。
たっぷりの新じゃがと新鮮なたこ、マヨネーズは控えめにして大葉をきざんで和風テイストな
ポテトサラダを作り、アスパラも加えてみました。シャキシャキ食感が意外に楽しくて、あっという間にお皿は空っぽに。家族にも大好評な一品でした。
収穫までに3年もかかって育てられ、ようやく旅立つアスパラガス。生産者さんの愛情で慈しまれ大切に育てられた箱入りムスメ、あるいはムスコくん???性別を見分けながら(笑) おいしく楽しく食べてみてくださいね。
兵庫県のまつのベジフルサポーター
野菜ソムリエ
フードライターの坂田理恵でした。