まつのベジタブルガーデン

山形県山形県民のソウルフード!花より「玉こんにゃく」

伝統野菜・食文化

こんにちは。山形県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエプロの鐙谷貴子です。

いよいよ桜前線が北上してきました。皆さまの地域は見ごろを迎えていらっしゃいますか?そしてお花見はもうされましたか?さて、今回は山形県ではお花見や行楽にはもちろん、食卓にも欠かせない山形名物の玉こんにゃく(通称玉こん)のご紹介をしたいと思います。

実は山形県の中でも山形市は全国こんにゃく消費量が日本一。県民一人当たりの1年間の消費量は板こんにゃくでは15枚相当だそう。言われてみれば、お正月のお雑煮や煮しめなどには角こんにゃくが必ず入っていたし、運動会やお花見のお弁当の中には玉こんがかなりの面積を占めていました。

玉こんは直径3cmほどの球状のこんにゃくを出汁と醤油で煮込んだもの。主な観光地の売店やお祭りには竹串または割り箸1本に、3~4個刺してあり、そこに練りがらしをつけて食べるのが一般的です。いわば、山形県民のファーストフードでしょうか?
  
道の駅にも…

では、生産量では群馬県がトップなのに、なぜ山形県でこんにゃくを食べる習慣が広まったのでしょう?平安時代、山形市の山寺立石寺を開いた慈覚大師がこんにゃくを持ち帰り、広めたとされています。今では山形市には全国でも珍しいこんにゃく料理の専門店が何軒かあるほど。

今回、鶴岡市のまるい食品株式会社の伊藤久美社長を訪ねました。創業者の父親の後を継いで、現在二代目となる女性社長です。工場は玉こんにゃくのイラストがとても目立ちます。
 
こんにゃく芋の植え付けから栽培に取り組み、地元をこんにゃく芋の産地にしようと頑張っていらっしゃる伊藤社長。こんにゃくの製造・販売だけにとどまらず、こんにゃくの新たな食べ方の可能性を広げていくためにこんにゃく料理教室なども開催されており、まさに地域密着!地元愛に満ちた会社です。こちらがこんにゃく芋。実物を見せていただきました。

 
「なぜ、こんにゃく芋の生産は少ないのに、この山形県でこれだけこんにゃくを食べるようになったのでしょうか?」と、伊藤社長にお尋ねすると…

「この食文化は山形県の内陸から始まり、この庄内地域へと伝わったようです。昔は米は希少で、もち米となればさらにぜいたく品と考えられていた時代に、こんにゃく芋からこんにゃくを作ることを考え、安くて大きく、食感も食べ応えもあり、まるで肉のようなこんにゃくを頻繁食べるようになったのでは。そして、桜の咲く頃には、丸くしたこんにゃくをお団子の代わりに串にさして食べるという食文化が生まれたたのではないでしょうか」とのこと。

確かに山形県民は、花より団子!それよりも玉こんにゃく!です。桜の咲く季節はまだ肌寒く、こんにゃくのほんのりとした温かさが恋しく、ついつい買ってしまいます。
 
また、まるい食品さんでは、「くらげこんにゃく」を販売しています。こちらは平成27年東北地方春名奨励賞を受賞されました。同じ鶴岡市に「くらげ水族館」があることから開発を手掛けたこのくらげこんにゃく、ふわふわした触手づくりには大変苦労したそうです。確かにくらげとこんにゃくのイメージはそっくりですね。 

ところで、こんにゃくというとどんなイメージをお持ちでしょうか?ローカロリーでダイエット食材のイメージがあるのでは?確かにこんにゃくのカロリーは100グラムあたり5~7キロカロリーと言われています。でも、カロリーが低いだけで栄養がないと思っていませんか?実は、こんにゃくにはまだまだ多くの成分が含まれています。

こんにゃくに含まれている「グルコマンナン(別名コンニャクマンナン)」にはコレステロールを下げる効果があるとされています。それは水溶性食物繊維が余分な脂肪や糖分を体外に排出する優れた効果が期待できるから。

そして、美肌づくりに嬉しいセラミドも含まれています。セラミドはお肌の角質層に存在する成分で、細胞と細胞の間で水分や油分を保つ役割をしています。そのため、肌の乾燥に悩むこの季節には嬉しい食材。見た目は地味でも女子力を上げてくれる魅力の食材です。

さて、この玉こんを煮る時に欠かせないのが、昆布、煮干し、干しえび、スルメなどを使った天然出汁。これらを一緒に入れて煮ることで、個性あふれる家庭の玉こんになります。 

<玉こんトッピング・白ごま・かつおぶし・とろろ昆布>
 
  <玉こんのチーズフォンデュ> 
あらかじめ味付けした玉こんとチーズとの相性を楽しんでください!

<玉こんの春の米粉シチュー>
玉こんはあらかじめ味付けしておきます。春野菜(スナップエンドウ、プチヴェール、芽キャベツ)で米粉シチュー。桜パスタをトッピング!

<糸こんにゃくの坦々こんにゃくとなめことプチヴェールのペペロンチーノ>
味のないこんにゃくだからどんな味つけも可能ですが、少し濃いめのはっきりした味がピッタリ!お箸が止まりません!

<角こんにゃくの味噌田楽>
あっつあつをどうぞ!

屋外で食べる熱々の玉こんにゃく。ハフハフ!辛子で鼻の奥がツーン!小さい頃の懐かしい匂いと風景も浮かんできます。今年も北国の山形にも待っていた春。しかしまだまだ風は冷たい。桜の花と玉こん。そして、真夏の暑い海辺の浜茶屋でもなぜか食べたくなる醤油味のアツアツ!いつの季節にも切っても切れない山形の風景です。皆さまも山形に立ち寄った時にはぜひ、1本、ハフハフしてください。

まるい食品株式会社
http://www.marui-g.co.jp/
参考資料:山形県HP

山形県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエプロの鐙谷貴子でした。

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