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奈良県歴史ある伝承の生薬・大和当帰(やまととうき)

まつのベジフルサポーターレポート

大阪府のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエプロ・ジュエルフルーツクリエイターの万ノ記子(まんののりこ)です。

皆さんは奈良県の伝承生薬である大和当帰(やまととうき)をご存知ですか?ピンとくる方は少ないでしょうか?実は私もその1人でした。大和当帰の歴史は古く、推古天皇が統治していた頃から薬草として用いられていたことが日本書紀に記載されています。薬膳を勉強されている方にとっては馴染み深く基礎で学ぶ主要な生薬なのだそうです。
当帰
トウキはセリ科・シシウド属の多年草で、湯通しして乾燥させたトウキの根は、冷え性、血行障害、滋養強壮、鎮痛薬などの漢方薬「当帰」として処方されています。
当帰
この大和当帰は栽培に手間がかかるため、最近では奈良と和歌山の両県境にわずかに栽培されているだけとなり衰退傾向にありました。
当帰
江戸時代には全国各地で製薬材料の商業品種として栽培推奨されていたため、産地により大和当帰、越後当帰、仙台当帰などと呼ばれていました。そして中でも、奈良県五條市大深で栽培されていた大和当帰(大深当帰)は最高の品質として認められていたそうです。
その奈良県五條市で大和当帰を栽培されている益田農園の益田吉仁さんにお話をお伺いしました。
当帰
昔から当帰の根は生薬として利用されてきましたが、それ以外の部分は使われていませんでした。しかし、2012年より葉の部分が「非医」扱いとなったことにより、当帰葉の有効利用が注目されるようになったそうです。県は、衰退傾向だった大和当帰の栽培を活性化させようと生産から販売、関連商品の開発まで行うプロジェクトをスタートさせお菓子やお茶など食材への利用を促進し、薬の原料だけではない使い道で大和当帰を商品化し、新たなビジネスモデルを作ろうとしてPR活動をしています。
当帰
益田さんも県の推進プロジェクトを利用し当帰を栽培始め、今年で4年目だそうです。実は益田さん本人も五條の当帰が全国的に有名で品質の良いものだという認識はなかったそうです。東北地方の震災支援でご縁のあった福島県の方から聞き、絶滅しかけている五條当帰の栽培を復活させようと決意し栽培を始めたそうです。今では見本市や商談会で伝承の生薬である五條当帰のPRを繰り広げてらっしゃいます。
当帰
当帰の葉は深い緑色が鮮やかで、セロリのような香りが特長です。
当帰
現在は、和ハーブとして当帰葉を料理のアクセントや香り付けの用途で活用する動きが広がっており、当帰葉を使った料理、お茶、調味料、和洋菓子などその他にも色々な商品が次々と考案されています。
当帰
飲食店などでも大和当帰葉を使ったメニューが考案され、天ぷらなど素材を活かした料理は当帰葉の独特の風味を楽しめるということで人気があります。
当帰
当帰葉の収獲は11月頃まで。気温が下がり冷え込んで霜が降りると葉は枯れてくるのでその頃から当帰の根を収獲します。
当帰
収獲した根は春先まで干し、その後湯もみという作業で根の間についている土を丁寧に落とし出荷されるそうです。
当帰
この当帰の根が漢方薬の原料として非常に貴重な原材料となるのです。
東洋医学では未病(みびょう)の知恵として漢方が処方されます。未病とは半健康で病気に進行しつつある状態のことをいい、病気を発症する前で自覚症状があるのに検査では異常がない状態と、自覚症状がないのに検査では異常がある状態の両方を指します。この未病の状態を改善するために漢方が用いられるのです。

では当帰が配合された主な漢方処方をご紹介しましょう。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
血行をよくして体をあたため、貧血症状を改善します。また、痛みをやわらげたり、ホルモンバランスを整える効果も期待できます。(体力虚弱で、冷え症、貧血の傾向があり疲労しやすくめまい、肩こり、耳鳴り、動機の症状に処方)

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
胃腸の働きをよくして体力を回復をさせ、元気をとりもどすのを助けます。体の疲れ、食欲不振、胃弱、夏やせ、こじれて長びくカゼ、あるいは病中・病後、手術後などで体力が弱っているときに用いられます。 (体力虚弱で、元気がなく、胃腸のはたらきが衰えて、疲れやすいという症状に処方)

十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)
倦怠感、食欲不振、息切れ、ふらつき、手術後や病後・産後の体力低下、不正出血、貧血、生理不順や体力補強に用いられます。(虚弱体質、疲労や産後、病後などで体力を消耗しているとき。消化器や循環器の機能が低下し、貧血になったり、手足が冷える等の症状に処方)

このように当帰が配合された漢方は未病を防いでくれる効果を期待できますが、漢方は副作用や体に合わない方もいらっしゃいます。必ず医師や薬剤師の処方をあおいでください。

奈良県の大和当帰、少し馴染みのあるモノになったでしょうか?大和当帰を復活させたいという益田さんの想いをうけて周辺地域では徐々に栽培が拡大しているそうです。大和当帰の活用商品は奈良県のアンテナショップ奈良のうまいものプラザやまほろば館、道の駅(宇陀路・大宇陀)などで手に取ることができます。私も当帰商品を覗きに歴史ある奈良へ足を運びたいと思います。

大阪府のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエプロ・ジュエルフルーツクリエイターの万ノ記子(まんののりこ)でした。

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