- 03-5753-3728 受付時間 10:00~17:00
熊本県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエプロ、チョコレートソムリエの佐藤真美です。
前編ではカカオ豆についてお伝えしました。今回は日本に到着したカカオ豆の加工、チョコレートを製造する工程をご紹介します。
【選別】
カカオ豆は麻袋に入った状態で到着します。取り出して見ると、皮が割れたもの、変形したものなど、材料としては利用できないものも含まれているので選別作業をします。時には石や釘などカカオ豆でないものが含まれていることも。
【焙焼(ロースト)】
選別されたカカオ豆はさらに乾燥され、オーブンや専用のロースト機で焙焼されます。ここでチョコレートのような香ばしい香りが楽しめます。
【破砕】
焙焼されたカカオ豆の外皮や胚芽を風力を利用した機械で除去します。手でも剥くことができますが、大変手間暇がかかります。
除去された胚乳の部分が「カカオニブ」。これはとても苦くてこのまま食べるのは困難なため、菓子やスパイスの材料として使われることもあります。
【磨砕】
カカオニブをすり潰します。カカオニブの約50%は「カカオバター」と呼ばれる油脂が含まれています。石臼ですり潰してみるとペースト状のものが出てきているのがわかりますか?これがカカオマス(カカオリカー)です。このカカオマスからチョコレートやココアパウダーが作られます。
【混合(ミキシング)】
100%のカカオマスのままでは苦いため、ここで砂糖やカカオバターなどを追加。最近「カカオ70%」や「カカオ80%」といったチョコレートをよく見かけますが、これはカカオマスが70%、その他の材料が30%含まれているという意味。カカオ率が高ければ高いほど苦みがあることになります。
【微粒化〜コンチング】
混合した材料の粒子を細かく砕いていき、さらに1日ほどかけてじっくりと練り上げていきます。この行程をコンチングといい、よりなめらかな状態に仕上げていきます。
【テンパリング】
カカオバターの結晶型を最も安定した状態に調整するための作業。チョコレートがうまく固まるようにするためと保存中の劣化現象を防ぐために行う大事な工程です。この調整に失敗するとチョコレートの風味が落ちてしまいます。機械で行うことがほとんどですが、手作業でも可能で、その場合は温度を見ながら素早く行う必要があります。
【成型】
テンパリング後、冷却してすぐに食べられますが、一定の日数置いて熟成させるとより美味しくいただけます。店頭に並んでいるものは熟成されたものがほとんど。板チョコの場合は専用の型に流し込んで冷却し、包装して完成です。
最近では、カカオ豆からチョコレートまでを一つの店で製造している「Bean to Bar(ビーントゥバー)」と呼ばれるチョコレートショップが増えました。お店によって味も様々。ぜひ行ってみてくださいね!
スリランカ産のカカオ豆で作ったチョコレートは苦味とコクが深く、ナッツのような風味が特徴です。私たちがスリランカ産を使用している目的は「フェアトレード」。フェアトレードとは、生産者がより良い暮らしを実現するため正当な価格で取引を行うこと。カカオを通じてスリランカの人々の暮らしの助けの一つになるよう活動しています。
また、ワークショップも各地で行い、スリランカカカオの濃厚な味を子供から大人まで楽しんでいただいてます。
さて、みなさんはチョコレートをどのように食べていますか?ここで、チョコレートの変わった楽しみ方やチョコレートとの相性の良い食べ方をご紹介します。
・チョコレートのホットドリンク
溶かしたチョコレートにホットミルクを注ぎ、スプーンでチョコレートを溶かすように混ぜてできあがり。ミルクココアより濃厚なチョコレートドリンクが味わえます。
・カカオニブティー
カカオニブを水で約1時間浸して抽出したもの。コーヒーフィルターなどで漉していただきます。カカオの苦味と渋みに加えて香ばしさも加わり、あっさりとしたティーのできあがりです。
・ドライフルーツ
特にチョコレートとオレンジは最高の組み合わせ!ぜひチョコレートはカカオ率が高いものを。いろいろなドライフルーツで試してみてくださいね。
アルコールがお好きな方は、お酒に合わせたチョコレートを選んでみましょう。
・ワイン
爽やかな白ワインにはビターチョコレート、渋みが感じられる赤ワインにはミルクチョコレート、ロゼやスパークリングワインにはホワイトチョコレートがおすすめ。ホワイトチョコレートの甘みやクリーミーさとの相性は抜群です。
・ウイスキー
まろやかな味わいのバーボンにはミルク率の高いミルクチョコレートを。ミルク風味との相性は格別です。スコッチはカカオ70%のダークチョコレートを。ハイボールなどでカジュアルに!
近年、チョコレートがブームになっていますが、チョコレートはただ美味しいだけでなく、カカオに含まれる成分も注目されています。チョコレートのほろ苦さの元となる「テオブロミン」という物質は、リラックス効果が期待でき、カカオに含まれるポリフェノールは強い抗酸化作用も期待できます。1日に板チョコの3〜5かけ分ほど(高カカオチョコレートの場合)が適量です。
また、よく「チョコレートの保存の方法がわからない」という質問を受けますが、冷蔵庫で保存していたチョコレートを温かい場所に放置すると、表面に白いまだら模様ができてしまいます。「ブルーム」という現象で食べられないことはないですが味は落ちてしまいます。
そのため、基本的に常温保存で十分ですが、室温が高かったり、夏場の保存は常温では難しいため、冷蔵庫でしたら野菜室での保存をおすすめしています。
チョコレートは、産地や栽培方法、製造方法で味や香り、舌触りなどが全く異なります。ぜひ、いろいろなチョコレートを食べ比べてみてくださいね!最高のチョコレートに出会えますように!
熊本県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエプロ、チョコレートソムリエの佐藤真美でした。