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こんにちは。
福井県のまつのべジフルサポーター
野菜ソムリエプロ
だしソムリエ協会認定講師の
水嶋昭代です。
今回は、福井を飛び出し、静岡県焼津市へかつお節工場の見学に行ってきました。料理には欠かせない日本特有のだし素材「かつお節」がどのように作られているのか、実は意外と知られていません。ぜひ皆さんにかつお節のことを知っていただきたいと思います。
だしだけではなく、料理にかけたり、和えたりと毎日の食生活には欠かせないかつお節。かつお節には、カビ付けしていない「荒節」とカビ付けした「枯れ節」があります。まずは、その製法についてお話いたします。
主な産地は、鹿児島県の枕崎、指宿、静岡県の焼津です。原料のカツオは、日本の近海でも獲れますが、脂肪は酸化しやすく劣化が早い、だしがにごりやすいなどの理由から、現在は、脂肪分の少ない南洋のカツオが多く使われています。主にインドネシアやパプアニューギニアのあたり、赤道近くの海で、巻網などの方法で漁獲されます。遠洋で獲れたカツオは、船内において、ブライン凍結法(飽和食塩水をー25度の凝固点ぎりぎりまで冷やして、その中に魚を漬け込んで凍結する)で急速冷凍され、鮮度を保ったまま日本に運ばれます。水揚げされ、工場に運ばれたカツオは、雑菌が繁殖しにくい方法で解凍され、機械、もしくは、手作業で加工されますが、今回は昔ながらの手作業での製法をご紹介します。
【生切り】熟練した職人さんの手により、主に5kg近いカツオをおろしていきます。カツオを捌く包丁も部位によって、使い分けられます。3枚におろしたものを更に血合いに沿って、半分に切ります。 背側を背節(せぶし)または雄節(おぶし)腹側は腹節(はらぶし)または雌節(めぶし)と呼び、雄節の方を大きめに切ります。雌節の方が脂肪分が多いのが特徴です。
3キロ未満の小さなカツオは、半身のまま加工され、形が亀の甲羅に似ていることから「亀節」と呼ばれます。
【籠立て(かごたて)】カツオを身を崩さないように丁寧に籠に並べます。綺麗なかつお節を作るために大事な作業です。
【煮熟(しゃじゅく)】85度~96度で約2時間茹でます。茹でた状態のものが、「なまり節」です。また、この煮汁が一部の顆粒だしなどに使われます。【骨抜き】残っている骨を丁寧に取り除きます。この作業だけは、機械化が進んでも、手作業で行われます。熟練した人は、一日600本以上のかつお節の骨を抜くそうです。【焙乾(ばいかん)・安蒸(あんじょう)】コナラやクヌギの木で燻します。焼津では、昔ながらの「手火山式(てびやましき)」と「焼津式乾燥庫」での焙乾方法が行われています。手火山式「焼津式乾燥庫」
「一番火」(水抜き焙乾)と呼ばれる最初の焙乾は、表面の雑菌を殺すために85度~90度で1時間行われます。この一番火の後に、【整形、修繕】が行われます。かつお節は、形が美しいことが命、煮熟や焙乾する間に欠けた部分に中落ちのすり身を塗り、形を整えます。
二番火以降の【間歇焙乾(かんけつばいかん)】は、「焙乾」と冷まして寝かせる「安蒸」を10回ほど繰り返します。焙乾終了後の水分量は、元のカツオの23%ほどです。ここまでの工程で完成したものが「荒節」です。約1か月で完成します。こちらが主に関西で好まれる「花かつお」になります。また、 荒節の表面のタールを削られたものを「裸節(はだかぶし)」と呼びます。
【カビ付け】形が良く、質の良いものだけに、かつお節優良カビを噴霧します。
☆(株)にんべん様が分離・研究し、日本鰹節協会様に供給しているユーロティウム属のかつお節優良カビが全国のかつお節の生産に使われています。まず、日光に当てて乾かす「日乾(にっかん)」を1~2日行い、木箱に詰めて、温度25~26℃、湿度84~85%の室(むろ)に入れます。16日~17日で青カビが表面に発生します。この段階を「一番カビ」と呼びます。更に、表面のカビを落として、乾かし、二番カビ、三番カビと繰り返されます。青カビは、何度か繰り返すことで茶色いカビに変化します。「カビ付け」は、数回繰り返され、2回までのものを「枯れ節」、4回以上のものを「本枯れ節」と呼びます。
カビ付けをする意味は、
①カツオ節の水分を更に抜き、保存性を高める。
②魚臭さが減り、かつお節特有の香りが付く。
③分解酵素により、更にうま味が発生する。
④他の菌の繁殖を防ぐ。
⑤だしの濁りがなくなる。カビ付け後は、生のカツオが70%前後だった水分が、本枯れ節で12%~15%になります。荒節が1か月余りで作られるのに対し、枯れ節、本枯れ節は、完成までに4か月~半年近くかかります。小さな影も見逃さず、完成度の高い商品だけを見極める職人の目があります。
今回、株式会社にんべん様の提携企業、株式会社丸栄様と株式会社山七様、そして(株)にんべん大井川工場様の見学をいたしました。にんべん様の工場では、削り立てをすぐに袋詰めし、フレッシュな削り節を供給されています。
今回は、かつお節が出来るまでの工程を中心にレポートしました。引き続き【後編】は、かつお節の違い、だしのひき方とかつお節を使った料理についてお届けします。
福井県のまつのべジフルサポーター
野菜ソムリエプロ
だしソムリエ協会認定講師
水嶋昭代でした。