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2012年 4月 4日 (水)

群馬でトマトについて勉強会を行いました

by トマトラヴ

今年の2月以降の天候不順なども関係して、ここのところ
空洞果(くうどうか)という トマトの中のゼリー分が少なくなってしまう現象
多発しておりました。

出荷前の「選果」の作業の強化で、防止をして行く。

という事を改善策として設けたのですが、もっと
根本的なところから改善をして行かないと
今後も同じような事が繰り返されてしまうのではないか。
という懸念もあり、トマトの勉強会を行いました。

今回の参加メンバーは まつののトマト協力産地、
たのふじトマト生産販売組合の皆さん http://www.matuno.co.jp/blog/blog.cgi?n=700

モスフードサービスアグリ事業部の佐藤さんと
まつののスタッフです。

講師の先生には、
土壌微生物管理技術研究所(通称土微研)
片山悦郎さんをお迎えして、

「どうやったら空洞果のトマトが出来るのか」
というテーマで空洞果の仕組みについての勉強会。(仕組みがわかれば対策も考えられるという逆の発想です。)

片山さんはご自身でも静岡で高糖度のトマトを作り、
直売所では連日売り切れの人気商品なのだとか。

まずは1部の圃場巡回。

ハウスの前には今日の勉強会に参加する生産者の方々があつまっていました。
最年少の若手から、ベテランの方々まで参加!

まずはハウスの中で今トマトがどのような状態で生育しているのかを確認です。


今回の圃場確認で訪れたのは中山さんの圃場。

葉の様子花の大きさ茎の状態などをチェック。



その後は
◆糖度計、
◆硝酸イオン測定機、
◆カリウムイオンメーター

それぞれ測定したい野菜の搾り汁をセンサーに数滴垂らすと数値が測定できる
操作も簡単な機材です。



これらを使い、実際のトマトの状態を数値で検証。

計測には軸の部分から出た搾り汁を使いました。



トマトの状態はトマトに聞くのが一番
もちろん生産者の方々も日々トマトを見てそれぞれに合った施肥や、調整をしていますが、実際の数値をみてみると、なるほど・・
圃場にきて話を聞いている皆さんそれぞれ自分のトマトを頭に浮かべて
話に聞き入っている様子でした。

また、片山先生からは
「やり方を変えるのではなく、考え方を変えてみましょう」と。
まるで皆でトマトの健康診断をしているようでした。



・収穫するときに腰に負担がかかるから、まっすぐに誘引してきれいに揃えたい。
・葉がたくさんあり過ぎると邪魔になってしまうから葉を掻いていた
・作業効率やよかれ。と思ってやっていた事
実は、トマトに負担をかける原因になってしまっていた....

「人が楽するのではなく、トマトの為になるようにちょっと大変でも我慢してみましょう。」と。

第二部は具体的な
空洞果トマトの仕組みについての講義

まず、植物を育てる上でエネルギーの元になるのは「肥料」=ごはん。
というイメージがありましたが、これは間違い。

肥料はあくまでもおかず。

メインでエネルギーになるごはんの役目を果たすのは光合成
なのだそうです。

いかに効率的に光合成をさせ、出来上がった糖を果実の生長につなげるか、そのやり方次第で空洞化は出来てしまう等...。

具体的な例を出しながら説明が進むと、皆さんなるほど。
そういうことなのかと。聞き入る姿は皆さん真剣です。


・苗の状態、
・植え方
・与える水の量、その温度
・光の当て方(遮光の方法)
・誘引(トマトの茎をつるす作業)の方法
・ハウスと、植える向き
・土の栄養分
・硝酸とカリウムのバランス調整
・葉の掻きかた
・摘果の方法

等の様々な要因により、空洞果が出来る仕組みがある事がわかりました。

通常行っている作業の中にも、効率化、収量UPの目的で行うようにした事が、結果的に空洞果に繋がってしまう原因がある事も。

「今までのすべての工程を変えるというのは非常に難しい事です。
取り組みできる部分、少しずつでもトライしてみる事が必要ですねと。」



生産者の皆さんや、農協の方からは、
日頃行っている栽培勉強会とは全く違う観点での話が聞けて面白かった。
◆こんな勉強会なら、収穫半分終わるこの時期ではなく、
 定植前等もっと前にやりたかった。
◆同じ品種を作り続けていて、毎年起こる現象等についても、今までメーカーなどに
 問い合わせしても具体的な答えが返ってくる事が少なく、改善に困っていたが、
 この勉強会で色々な話を聞く事が出来、それら要因について知ることが出来てとても良かった。

等の感想をいただきました。
皆さんまだまだ聞きたい事がたくさんあって時間が足りない状況でした..。

今回のような取り組み、初めての試みでしたが、この勉強会を通じて、自分自身も
トマトの事も理解が出来るようになった事に加え、
今まで以上に産地との距離も近くになれたように思います。

今回の勉強会の結果が、すぐにトマトに出るというのは難しいと思いますが、今後のトマト作りに少しでも生かしていただき、より美味しいトマト作りに繋がる事を期待します。

私たちはそのトマトをより多くのお客様にお届けできるように頑張ります!

ご協力いただきましたモスフードサービス佐藤様、片山先生
勉強会にご参加頂きましたたのふじトマト生産組合の皆様
誠にありがとうございました。


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